INDEX
富士フイルムホールディングス(HD)が、次の成長柱に据えているのが半導体材料だ。2030年度の部門売上高は5000億円と、24年度比で倍増させる青写真を描く。26年度の部門売上高は3350億円を見込んでおり、右肩上がりが続いている。
半導体材料事業への参入は、40年以上前の1983年にさかのぼる。米フィリップ・A・ハントケミカルとの合弁でフォトレジスト(感光材)事業に参入し、日本の半導体産業の成長に乗って事業を拡大してきた。
米インテルや韓国サムスン電子などを顧客に抱えるとされ、中でもフォトレジストは世界シェア8~10%となっている。半導体材料市場は年7%程度の成長率が見込まれているが、富士フイルムHDはその倍となる成長率を、M&A(合併・買収)に頼らずに達成するという強気の計画を掲げる。現在も年率20%近いペースで急成長しており、半導体材料メーカー大手の東京応化工業やJSRと肩を並べる規模になりつつある。
26年度までの2年間で、半導体材料領域の研究開発と設備投資に約1000億円を投じ、静岡や大分、台湾などで生産能力を増強。世界各地の最先端半導体メーカーの近隣に拠点を構え、シェア拡大を狙っている。
ただし富士フイルムHDは、複数の事業を抱えるコングロマリット企業であるがゆえに、株式市場における「半導体銘柄」としての存在感は十分とは言いがたい。社内からは「味の素やレゾナックは半導体銘柄ともてはやされるのに」と悔やむ声も漏れる。
半導体の微細化・複雑化に伴い、材料開発に求められるスピード感は増している。富士フイルムで同領域の技術戦略を統括する野口仁シニアフェローは「最先端の顧客を相手に材料を一緒に作っていくのは、機会が大きい一方でプレッシャーもすさまじい」と話す。専業メーカーがひしめく半導体材料市場で、どう勝機を見いだすのか。
インドのタタと提携へ
富士フイルムにおける半導体材料の出発点は、写真フィルムで培ってきた技術の応用にある。化学物質を微細に制御し、均一に混ぜ、薄く塗る技術を半導体材料へ展開してきた。さらに、自社に足りない製品はM&Aで補ってきた。
この記事は有料会員限定です
残り 1995文字

