白書に収録された導入企業3社(ANA、デンソー先端技術研究所、ALPHA GROUP)の調査でも、仮眠経験者168人のうち95.8%が集中力の向上を、90.5%がストレスの軽減を実感したと答えた。金子氏は集中力に加えてストレス軽減の効果が出たことを開発側の発見として挙げ、離職防止につながる可能性にも言及した。
旭川の合板メーカーと開放特許
同じ会場にもう一つの仮眠装置を持ち込んだのが、広葉樹合板という社名の木材メーカーだ。北海道旭川市で1971年に創業し、群馬県太田市に構える店舗什器の工場でgiraffenapを開発・生産する。
きっかけは取引先の銀行が主催した知財ビジネスマッチングで、山口裕也社長が、イトーキが社外に開放していた特許に出会ったことだった。立ったまま寝るボックスという発想を面白いと直感し、ライセンス契約を結んだ。特許は腕・尻・すねの3カ所で体を支えて立ったまま眠る構造だった。広葉樹合板は開発の過程で足裏の固定を加えて4点支持にし、体型を問わず脱力できる形に什器作りの技術で仕上げた。試作を重ねて今の姿勢にたどり着いたときのことを、山口社長は「これいけるな、という瞬間を覚えています。一瞬でわかりました」と振り返る。
北海道大学と台湾の国立成功大学との共同研究では、垂直方向の姿勢だと深い眠りに入らず、仮眠に適した睡眠段階2を保つことがわかった。20分で目覚めてすぐ仕事に戻れる根拠になっている。
導入したのは、横になって休む場所を作りにくい現場が多い。保育士からは子どもから目を離せない緊張から解放される、看護師からは呼び止められない1人の時間を持てるという声が寄せられているという。


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