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関西人おなじみ「頑固オヤジ」の素顔は偉大なイノベーターだった… 和食チェーン「がんこ」創業者がつむいだ一代記の神髄

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がんこ寿司
関西人なら一度は目にしたことがあるであろう「GANKO」の店舗(写真:共同)
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1年分ののりをまとめて仕入れていたところ、その年、のりが記録的な不漁に見舞われる。1枚17~18円で仕入れたのりを、専門業者が1枚85円で買い戻したいと申し出てきた。転売すれば数年分の利益が一度に入る計算だった。

小嶋氏は長く考え込んだ末、転売を断った。のりで儲けても仕方がないという考えからだった。時価80円まで値上がりしたのりを惜しみなく使い、手間をかけた巻きずしを、あえて1本85円で売り続けた。

品薄で行列ができると見込んでいたが、実際の売り上げの伸びは1割にとどまった。目の前にあった確実な利益を捨てて選んだ判断は、すぐには誰にも評価されなかった。

70年代、魚介類に潜む寄生虫や細菌への不安から、鮮魚店やすし店の客足が急減する時期があった。それにもかかわらず、小嶋氏の店には、かえって客が増えた。

小嶋氏自身の回想によれば、すしが好きだからどうしてもこの店で食べたい、という声が客から寄せられることもあったという。のりの一件のときは届かなかった評価が、まったく違う出来事をきっかけに、ようやく形になって返ってきたのである。売り上げが伸びなかった当初は落胆したはずだが、目先の利益より客との信頼関係を選んだ判断は、時間を置いて、実を結んだ。

答えを与えるのではなく、自ら答えを見つけさせる

だが、目先の利益より信頼を選ぶという判断は、店舗や業態が増えるほど、経営者一人の意志や現場の踏ん張りだけでは貫き通せなくなる。

安さと良さを同時に成り立たせるという理念を、規模が大きくなっても崩さずに再現できる仕組みに変えるため、小嶋氏はまずPOSに代わる独自の生産管理システムを自社で開発した。そのうえで、産業技術総合研究所とサービス工学に関する共同研究を、神戸大学や近畿大学とはサービスイノベーションに関する共同研究を、それぞれ重ねていった。

現場では、教えるのではなく従業員自身に考えさせる「QCサークル活動」を導入し、パート・アルバイトを含めたチームを、製造業も参加する全国大会で入賞するまでに育て上げた。教育とは、答えを与えるのではなく、自ら答えを見つけさせる姿勢だという考え方は、電柱の陰で客数を数えていた学生時代の小嶋氏自身のやり方と、どこか重なる。

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