米朝関係が再び大きく動く可能性が出てきた。アメリカのトランプ大統領は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との首脳会談に強い意欲を示している。〈トランプ氏は記者団から年内に金氏と会う予定か尋ねられ、「会うだろう」と答えた。書簡のやりとりの有無については「答えられない」とした。米紙ウォールストリート・ジャーナルは18日、トランプ氏が金氏との会談を今秋にも実現させるよう側近らに働きかけていると報じていた。〉(8月20日「朝日新聞」デジタル版)。これはトランプ氏の思いつきではない。同氏は本気で米朝首脳会談を模索しているとみるべきである。
重要なのは北朝鮮側の反応だ。表面的には、平壌(ピョンヤン)はアメリカに対して冷淡な姿勢を崩していない。しかし金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党中央委員会総務部長は〈「わが国家首班がトランプに個人的に良い追憶と感情を持っていることはすでに何度も明らかにしている」〉(8月21日「朝日新聞」デジタル版)と述べている。アメリカという国家に対する評価と、トランプ氏個人に対する評価を意識的に切り分けているのだ。交渉の扉を完全に閉ざしているならば、このようなメッセージを発する必要はない。
トランプ氏との直接交渉なら、大胆な政治的取引が成立する余地がある
さらに注目すべきなのは、米韓合同軍事演習をめぐる北朝鮮の反応である。金与正氏は〈突然、訓練縮小を指示したトランプの言葉一言でソウルは最も楽しみにしていた「戦争遊び」を取り止めなければならない哀れな立場に置かれるようになった。韓国にとって、今回のように事前論議もなく、始まるやいなやとっさに胴体が切り取られた半切れの演習、中身が抜けた殻の演習になったのは史上、初めての「異変」であろう。〉(8月20日「朝鮮中央通信」日本語版)と述べた。これは韓国を揶揄するだけの発言ではない。「トランプの言葉一言で」という部分が重要だ。北朝鮮は、トランプ氏にはアメリカの官僚機構や従来の安全保障政策を飛び越え、大統領自身の判断で政策を変更する能力があると認識しているのである。
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