ロシアは、ウクライナには独自の当事者能力はなく、西側連合の代理として行動しているにすぎないと考えている。プーチン大統領の認識では、ロシアは西側連合と戦っているのだ。これに関連して7月7日、エチオピアの首都アディスアベバで行われたアフリカ連合委員会議長マフムード・アリ・ユスフとの共同記者会見で、ロシアのラヴロフ外相が2025年8月15日にアメリカ・アラスカ州アンカレッジで行われた米ロ首脳会談の内幕に踏み込んだ注目すべき発言をした。〈プーチン大統領は、われわれはほかの交渉相手とは異なり合意を尊重すると明確に述べた。アンカレッジではわれわれに妥協案が提示され、われわれは検討の末にこれを受け入れた。アラスカでは、ゼレンスキーはアメリカの勧告に従うと説明を受けた。(7月7、8日にトルコの首都アンカラで行われる)NATO(北大西洋条約機構)首脳会議でどのような結果になるのか見守ろう。〉(7月7日、ロシア外務省ホームページ)。
これまで米ロ双方は、アンカレッジ首脳会談ではウクライナ和平をめぐる具体的な合意はなかったとの説明を続けてきた。それだけに、ラヴロフ氏がアメリカから妥協案を提示され、ロシアはこれを受け入れたと公然と語った意味は決して小さくない。さらに「ゼレンスキーはアメリカの勧告に従う」とアメリカ側から説明を受けたと明言したことも重要である。
ロシア政府は従来、ウクライナの重要な政治的・軍事的判断はアメリカの強い影響下にあると主張してきた。今回の発言はそれを米ロ交渉の場でアメリカ自身が認めたという位置づけになっている。もちろんこれはラヴロフ氏によるロシア側の説明であり、アメリカ政府は同様の内容を公表していない。しかしこの発言は現在のロシア指導部の対米・対独認識を知るうえで重要な資料である。
「最大の対立相手はドイツになりつつある」と認識
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