とはいえ、価格帯で若者の心を掴んでも、年齢を重ねるごとに離反するユーザーも増えていったという。若年層に支持されるブランドイメージが強固に定着して、30歳以上の利用頻度が低下してしまう反動が見られたのだ。
そこでコシダカHDが、30歳以上の顧客を掴むために動いたのが、前述したカラオケショップJOYSOUNDの事業承継だ。
カジュアルからハイエンドまでをカバーする「マルチブランド戦略」
JOYSOUNDといえば、通信カラオケ機器の印象が強いが、そのアンテナショップとして1993年から店舗展開も続けてきた。最盛期の2018年には125店舗を構え、東名阪のビジネス街や繁華街を中心に店舗展開を行っていた。部屋も競合他社に比べるとゆったりと使える大部屋が多く、立地柄まねきねこよりも比較的サラリーマンや社会人が多い。
そこでコシダカHDは、JOYSOUNDをハイエンド向けに業態転換した「GLANZA」の出店を進めている。20代以下をまねきねこ、30代以上をGLANZAとして、ターゲットの拡大を図る。
GLANZAでは、ハイボールサーバーをはじめ酒類を用意した“宅飲み感”のある定額制の部屋や、ペンライトやリングライトを常設した“推し活や配信に特化”したルームを用意した。加えて、定員の7割程度の人数で案内することで、ゆったりと上質な空間を提供していく狙いだ。
今年中には、同一ビルにまねきねことGLANZAを併設した店舗も開業を予定。カジュアルからハイエンドまでをカバーする、「マルチブランド戦略」を進めていく。
コシダカHDの事例を見れば、競合より早い段階から、学生に目を向けてきたことが成長を後押しした。そして、コロナ禍以降に買収や事業承継を進め、カラオケ業界では着実にシェアを拡大している。かたや、鳴り物入りでカラオケ業界に参入したGENDAは、力技のようにM&Aを続ける。
両社の成長戦略や規模拡大の手法は異なれど、今のカラオケ業界でポジションを確立するには、十分な経営体力が求められる。前述のように出店コストも嵩み、ピーク時ほどの規模が見込めない成熟市場では、それだけ新しいプレイヤーが入り込む余地が少なくなっているともみて取れる。
国内上位のカラオケ事業者を見ても、M&Aや大量出店で攻勢をかける企業と、既存ブランドを軸に展開する企業に分かれつつある様相を考えれば、業界はいずれ寡占化へ向かっていくのかもしれない。


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