一方で、若年層へのアプローチに注力したがゆえに、若者向けのブランドイメージが強固になっていき、30歳を超えるとユーザーの利用頻度が落ちる傾向も見られた。腰髙氏は「若い世代で賑わう店舗に、30歳以上の方は入りづらさを感じているのではないでしょうか」と苦笑交じりに語る。
このようなジレンマを解消するため、グループに迎え入れたJOYSOUND70店舗を、30歳以上向けの箱として設計したわけだ。20代以下をまねきねこ、30代以上をGLANZAと棲み分けることで、コシダカHDとしてもユーザーが離反するリスクを抑える狙いがある。
旧来のカラオケショップJOYSOUNDも、もともとは大部屋を多く設けているのが特徴だった。小林社長が「他社が30部屋作れる箱であれば、JOYSOUNDは20~25部屋に設計していた」と語るように、いまのGLANZAのコンセプトにも合致している。顧客層を補完できるうえ、JOYSOUNDの広い客室や都市部の立地をそのまま生かせると考えれば、両社が手を結んだのも納得できる。
「JOYSOUNDとしての新規出店は行わない」
2026年8月末時点で、GLANZAへのリブランディングは2店舗のみだが、年内には数店を改装する方針を明かしている。今後は、ビジネスパーソンが集中する東名阪のビジネス街を中心に、既存のJOYSOUNDを業態転換していく予定だ。今年中には、同一ビルにまねきねことGLANZAを併設した店舗も開業を予定している。
「東京であれば銀座や六本木、大阪であれば北新地といった高級な繁華街に、まねきねこはあまり出店していない。その一方で、JOYSOUNDは好立地に店舗を複数持っており、シナジーを感じている」と腰髙社長。
一方で、郊外やロードサイドのJOYSOUNDに関しては、当面は屋号を据え置いて営業を続けていく予定だ。「ご存知の通り、昨今は資材費も高騰して、1店舗を改装するにも数千万円かかる。まずは都市型店舗をGLANZAにして、動向を見ながら刷新を進めていく。少なくとも新店はすべてGLANZAにする方針で、JOYSOUNDとしての店舗は縮小することになる」と小林社長。
長年親しまれてきたJOYSOUNDが、徐々に看板をかけ替えていくと考えると、ユーザーとしては一抹の寂しさを覚える。しかし、経営の立て直しを図るスタンダードからすれば、ブランドを再建させるための現実的な判断と言える。
小林社長は「これまではメーカーの直営店として、カラオケショップJOYSOUNDは広告宣伝的な役割に比重を置いてきた。それが今は存分に収益性を追いかける体制に移行しつつあり、コシダカHDのマネジメントも取り入れることで、営業利益率も上がっていくだろう」と意気込む。
一方で、吸収した側のコシダカHDは、ここ数年で躍進を遂げている。2026年7月時点では国内で786店舗(まねきねこ・ワンカラ・JOYSOUNDの合計)を展開し、カラオケ業界で店舗数トップを走る。後編では、コシダカHDに焦点を移し、好調の背景やカラオケ業界の展望を見ていきたい。


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