1980年代後半に冷戦が終結してから約30年間、グローバル企業は利益の最大化を追求し、世界的な分業体制がもたらす繁栄を享受してきた。
しかし、2010年代後半の米中貿易摩擦を皮切りに、20年の新型コロナウイルス感染症の流行に伴う半導体不足や、22年に始まったロシアによるウクライナ侵略に起因するエネルギー価格の高騰、さらには米中の技術競争を背景とした輸出規制などによって、企業の行動や意思決定の論理は大きく変化した。
政府や企業が重視するようになったのは、サプライチェーンの信頼性や、制度の透明性、納入品質の安定性、そして取引先が長期的に契約を履行する能力を備えているかどうかだ。こうした要素によって、台湾は人工知能(AI)が牽引するこの産業革命において、不可欠な存在へと押し上げられた。
注目すべきは、世界的なAI投資ブームが次第に「計算資源の整備」から「生産性の創出」へと軸足を移す中で、台湾がさらに成長し、発展していくための次の一手は何なのかという点である。
台湾の強みは裾野の広い産業集積
大手クラウドサービス事業者が、発注を決めるカギは、将来の計算資源が予定通り整備され、安定して稼働し、問題が発生した際に迅速な技術支援を受け、解決できる体制にある。こうしたエンジニアリング面での協調能力という競争優位性が、製品価格よりも重要になっている。
そして台湾の強みは、長年にわたって蓄積してきた裾野の広い産業集積にある。これによって、設計、検証、量産、継続的な最適化まで迅速に実行できる、世界でも数少ないエンジニアリングネットワークが形成されている。さらにそうした台湾のサプライチェーンは、製造能力を提供するだけでなく、大規模かつ複雑なシステムを調整するためのコストも低減できている。
アメリカの「テック・ジャイアント」と呼ばれる7社(アルファベット、アマゾン、アップル、メタ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ)の直近6四半期の財務状況を総合的に見ると、AIへの投資によって売上高や利益は総じて伸びている一方、フリーキャッシュフローには各社で明暗が分かれていることが分かる。一部の企業では設備投資の増加が続くことで、フリーキャッシュフローが安定しない状況となっている。一方、財務運営が比較的堅実な企業では、売上高や利益の成長を着実にキャッシュフローや投資収益率へと結び付けている。
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