「日光を浴びると気持ちがいい」、それは間違いありません。
しかし実は、日光にはそれ以上の役割があります。体内時計を整え、妊娠しやすい体づくりを支える、非常に強力なスイッチでもあるのです。
これまで本書では「夜の光」が体内時計を乱す話をしてきましたが、ここでは視点を変えて、昼間の光、とくに季節で変わる"昼の長さ(日照時間)"に注目します。
日照時間は、季節でこれほど違う
日本でも、昼の長さは季節で大きく変わります。東京では、夏至ごろは昼が約14時間半、冬至ごろは約9時間45分。年間で約5時間もの差があります。
この「昼の長さの違い」に体が反応する性質を光周性と呼びます。動物の行動や生殖は、この光周性の影響を強く受けているのです。
自然界では、子育てに最も適した季節に出産できるよう、妊娠の開始時期を昼の長さで調整する動物が多くいます。
春~夏に繁殖するウマやキツネ(長日繁殖動物)、秋~冬に繁殖するヒツジやシカ(短日繁殖動物)。妊娠期間の長さに合わせて、「春から秋の育てやすい季節」に出産がくるよう設計されているのです。
ヒトは一年中妊娠できる周年繁殖動物に分類されます。筆者らが研究に使う実験動物であるネズミも同じです。そのため長らく、「周年繁殖動物では、季節や日照時間は繁殖に関係しない」と考えられてきました。
ところが、筆者らの研究はその常識に小さな修正を迫りました。


※ログイン後、コメント入力が可能です。