窪田:その通りです。室内で近くを見続ける近見作業が加わると、より近視になりやすくなると考えられています。外にいることの影響ほど大きいとは限りませんが、睡眠は近視にかかわる重要な要因の一つです。
愛波:近視は遺伝の影響が大きいと聞きます。親が近視なら、子どもも近視になりやすいのでしょうか。
窪田:近視になりやすいという体質的な遺伝要因はあるといわれます。ただ、近視そのものを遺伝だけで説明するのは適切ではありません。野生の動物にとって、近視は生きていくうえで大きな不利になります。獲物も見つけにくく、危険も察知しにくいからです。
愛波:生き物としては、近視になりにくくできている、ということですね。
窪田:そうです。人間にも、本来は近視になりにくくするための、いくつもの仕組みがあります。その中でも、1日のうち2〜3時間外にいることが、近視の抑制につながるとされます。
人工的な光にあふれた現代の暮らし
愛波:親が近視でも、外にいる時間を意識することには意味があるのですね。
窪田:あります。両親が近視でも、子どもが近視にならないことは十分にあります。人間の体には、近視になりにくくするためのバックアップの仕組みがあると考えられています。
愛波:それでも、近視の子どもが増えているのはなぜなのでしょうか。
窪田:環境要因が大きいからです。マサイやイヌイットの人々も、狩猟を中心とする生活から、学校に通い室内で学ぶ生活に変わると、次の世代で近視が増えたといわれています。
愛波:生活環境が変わると、次の世代で変化が表れるのですね。
窪田:遺伝子そのものが急に変わったというより、生活環境が変わった影響と考えるほうが自然です。現代の暮らしは、人工的な光にあふれ、室内で近くを見る時間が長い。古い時代の生活から見れば、かなり特殊な環境です。
愛波:睡眠、光、外遊びは別々の話のように見えて、つながっているのですね。



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