ただ私は、ここで問い直したい。「無理をさせない」と「放置する」は、同じではない。「休む」と「止まり続ける」も、同じではない。この境界線のあいまいさが、いま多くの家庭を苦しめています。
■「低年齢化」が静かに進む不登校
もう1つの大きな変化は、不登校の低年齢化です。小学校低学年からの不登校が増えています。私たちが在宅診療で「不登校」を入口に関わる子どもたちの中にも、6~9歳くらいの子が少なくありません。
もちろん、私たちは医師なので「病気」として受け止めます。けれど実際には、そこにある要因は多様で、単純に病名で括れるものではない。
講演会で、ある母親が言いました。
「うちの子はまだ9歳なんです。もうこの子の人生に、先はないのでしょうか」
9歳で「先はない」という言葉が出てしまう。これが今の親の不安の深さです。
がん末期の母親とひきこもり男性
■「ひきこもり」は不登校の延長線上
内閣府の推計では、広義のひきこもり状態にある若者・成人は100万人規模とされています(15歳から64歳までが含まれます)。不登校とひきこもりは、別物ではありません。一直線につながるわけではないけれど、延長線上に重なり合う部分が確かにあるのです。
在宅医療の現場では、不登校の延長線上にあるひきこもりに何度も出会います。
がん末期のお母さんの家に行く。奥の部屋に40代の息子さんがいる。彼は高校で不登校を経験し、20代から外に出ていない。親の介護は頑張っている。私とは話もでき、笑顔も見せる。でも社会とは接点がない。通院もできていない。
これは特別な話ではありません。静かに、よくある風景です。


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