発電時にCO2を排出しない原子力の利用はその有力な手段ではあるが、原子力が持つ固有の課題の解決が見通せない限り、原子力の安易な拡大は問題解決の先送りになりかねない。
原子力の固有の課題には使用済み核燃料の対応、プルトニウムの核拡散の防止、そして安全性の確保が挙げられる。これらの課題への対応策の1つとして、トリウムを燃料とし、溶融塩炉という原子炉の方式を用いることが再検討され、実現可能性の評価が進んでいったのが2000年代初頭だ。
トリウム溶融塩炉について、日本のエネルギー安全保障の視点で見れば、日本にないものは炉をつくる技術ではなく、炉で燃やす燃料としてのトリウムそのものであった。06年当時、世界ではトリウムを主たる核燃料とする商業用溶融塩炉はまだ実用化されていなかったので、筆者は日本がトリウムの権益を獲得できないか調査を始めた。
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