いこいの館を訪れると、まず目に留まるのが、凝った造りの正面玄関だ。
「曲線を描く自動扉は、細部にまでこだわったデザインなんです」
丸山さんは説明してくれた。しかし、この凝った設計が、修繕のハードルを高くしている。故障しても、現在の町の財政状況では修理費用を捻出するのは難しい。
事業を引き継ぐ業者を探すため、視察の募集もした。積極的に民間事業者が見学に訪れることもあったが、実際に手を挙げるところはなかった。
現在、館内の一部はボルダリング施設として使われ、町の小学生が時々使用する。また、社会福祉協議会やデイサービス、貸会議室としても利用されている。行政関係の利用以外は有償だが、建物を維持するための費用は毎年かさむ。
かつてこの施設で働いていた住民は、「いこいの温泉が復活すればいいな、という思いはありますよ」と話す。今も、再開を望む地元の声が町の中でもちらほらあがるという。
町でも、施設の活用方策は検討されているが、話が進んでいないのが現状だ。
「ソロキャンパーの聖地」はにぎわうのに、お金が落ちない
一方で、対照的なにぎわいを見せる場所もある。木津川の河川敷にある笠置キャンプ場だ。約3万㎡の敷地は、全面フリーサイト。京阪神からのアクセスもよいため年間約8万人が訪れ、「ソロキャンパーの聖地」と呼ばれている。
キャンプ場の管理をしているのは、辻田聡信さん。笠置町が運営を委託している京都市内の株式会社一(いち)のスタッフだ。
「ゴールデンウィーク明けの土曜、キャンプ場はほぼ満場でした」
数えられるだけで300張以上。テントとテントの隙間を縫うようにしてなんとか入り込む客もいたが、それすらできない日もあったという。
キャンプ場の利用料金は大人1泊1000円、日帰りなら500円。この費用は「清掃協力費」という名目で徴収されている。というのも、このキャンプ場は国有地の河川敷にあり、正式な「利用料」として収益化することができないのだ。これでトイレ、炊事場、ゴミ処理などのサービスをまかなっている。


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