バードケージの愛称は“鳥かご”のように複雑に組まれた細い鋼管のシャシーに由来する。マセラティが、いまもスポーツカーのオリジンに据える傑作レースカーだ。
マセラティのビジネスにおける強みは、SUVにすらこんな伝統を結びつけられるところにあるんじゃないだろうか。
F1由来の技術を持つエンジン
実際、プロダクトとしても、グレカーレ・トロフェオはよく走ってくれて、期待を裏切らない。
まず、ドアを開けてドライバーズシートに腰をおろすときに、「お」と思わせる。
シートは左右のホールドがしっかりした、いわゆるバケットタイプ。しかも、ステアリングホイールは上下を直線的に造型した独特の形状で、スエード調のグリップがレースカー的。
今回のマイナーチェンジにおいて、ダッシュボードに八角形のベゼルをもった時計が据えられた。見た目はアナログ的だが、時刻に加え、Gメーターや前後駆動力配分メーターの機能も持つ。
さらに、センターダッシュボードのギアセレクターが、従来はボタン型だったのが、今回から、金属製のピアノキータイプとなった。
「触感は質感につながる」とは前出のデザイナー、ブッセ氏の言葉で、「感触はもっとも重要視した部分のひとつ」とのことだ。
トリエステから内陸に入ったクロアチアの丘陵地帯には、ワインブドウ畑が広がる。空が広く見え、たいへん爽快だ。欧州各地では酷暑を体験したが、湿度も低く、肌寒いほどだったのも幸運である。
V6「ネットゥーノ」エンジンは、グレカーレ・トロフェオの最良の部分だ。F1由来の技術だとうたわれる、プリチャンバー+ツインスパーク方式で、低回転から高回転まで、スムーズにパワーを出す。
ステアリングホイールを切ったときの車体の追従性は、低重心と硬めのサスペンションの設定とあいまって、まさにスポーツカー的。高回転までエンジンを回して、空いた田舎道を走るのはすばらしい体験だった。


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