実写になった本作の特徴は、体温を感じるような情感があふれることだろう。ポリネシアが舞台になるミュージカル調のシーンは、歌もダンスも同地域特有のリズムと明るさがあり、心躍る楽しさがある。
また、モアナがアニメ版よりもずっと大人びて見える。生まれ育った美しい島・モトゥヌイでの祖⺟タラをはじめとする家族との絆が描かれる場面では、心にぐっと熱いものが迫るシーンがいくつもある。
生身の人間が演じることによって、モアナおよび家族それぞれの気持ちにより感情移入し、気づけばいつの間にか寄り添って応援していたりする。とくに物語の前半は、心温まる人間ドラマとしての側面が色濃くにじみ出ていた。アニメとは明らかに異なる、生々しさを含む血の通った温度感がある。
後半は“でこぼこバディ”のアクションアドベンチャー
加えて、後半のアクションシーンは、実写ならではの醍醐味である迫力と臨場感にあふれていた。
ココナッツの海賊・カカモラとの船上の戦闘は、まるでジェットコースターに乗っているように目まぐるしく場面が移り変わり、危険をかいくぐって戦うレジャーランドのアトラクションを楽しんでいるような気分になる。
後半からラストの、モアナとマウイがようやくたどり着いた目的地での対決は、海と島、火山など大自然が舞台になる壮大なスペクタクル・バトルアクションだった。それは『アベンジャーズ』のアイアンマンやキャプテン・アメリカの戦闘を観ているのかと思うほど。
でも、そんな激しい戦いを繰り広げているのはモアナだ。島と家族のために、強大な敵に命をかけて勇敢に立ち向かう。ラストの戦闘だけ観れば、マーベル作品かと思うような激しいバトルアクションの連続。ドウェイン・ジョンソンがマウイ役に起用されたのは、このラストシーンのためだったのかもしれない。彼が演じる実写マウイはとにかくかっこいい。まさに人であり神でもあった。
本作の本質は、“でこぼこバディ”モアナとマウイのアクションアドベンチャーだ。ときにお互いへの暴力的な振る舞いがあるのも、愛があってこそ。実写ならではの2人の関係性における人間味がとてもうまく映し出されている。


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