幸いなことに、現代の私たちは「死と隣り合わせ」というほど危険な毎日を過ごしているわけではありません。そのため、意識的に表情を作ったり、注意して相手の表情を読み取ったりすることの切迫感が薄れてきている、と思うことがよくあります。
でも、無意識レベルでは、その感覚は退化していません。顔のほんのわずかな動きであっても、相手の潜在意識には、強い影響を与えることになるのです。
感情の「漏れ」は命取りになる?
普段、私たちは自分の表情をコントロールしながら(少なくともそのように努めながら)過ごしています。しかし、無防備の状態でいるときに、思わず素の感情が顔に出てしまうことがあります。
たとえば、電車の中で思いがけず面白い動画を見て笑ってしまったり、目の前で交通事故を目撃してびっくりしてしまったりしたときです。
また、交渉やプレゼンなど、緊張を強いられる場面でも、表情のコントロールが難しくなります。自分にとって重要な場面だと意識してしまうと、失敗することへの恐れなどから「恐怖」や「嫌悪」といった表情が出てしまいがちです。
さらに、人は緊張すると「なだめ行動」と呼ばれる動きをしてしまうことがあります。これは不安を感じたときに自分の腕をさすったり、顔や髪の毛を触ったりしてしまう習性で、緊張やストレスをやわらげるための無意識の行動です。唇を噛んだり、顔をしかめたり、舌で口の内側からほっぺたを押したりする行為も、なだめ行動です。
このような素の感情は、あなたが相手に伝えたい感情とは限りません。むしろその逆のケースが多いでしょう。
反応してしまうこと自体は自然なことですが、今の感情をストレートに伝えたいときとそうでないときがあるわけです。

