正社員として会社に定着した後も、氷河期世代の苦難は続きました。多くの会社がバブル期に大量採用をしたため、上の世代の従業員が溢れかえっています。近年にようやく大量採用が復活するまで、氷河期世代は長い間職場の「下っ端」で、延々と雑用・下働きを押し付けられました。
その後、30代・40代になっても、管理職の余剰ポストが不足していたことから、昇進が遅れました。プレイングマネジャーになれればまだ良いほうで、大半が部下なしの「名ばかり管理職」でした。
リーダーとして活躍するためには、困難で責任のある業務や部下のマネジメントを経験することが重要です。リーダーとしてのキャリア形成という点で、氷河期世代は断然不利な会社員生活を送ってきたのです。
顧客視点で率先垂範の行動
こうした不利をものともせず、経営幹部に上り詰めたのが氷河期エリート。彼らには、どういう特徴があるのでしょうか。本稿を執筆するにあたって、大手企業・中堅企業の経営者・人事部門責任者37人にヒアリング調査をしました。
「他の世代と大きく変わらない」(素材・経営者)という意見もありましたが、「他の世代にはない特徴がある」(小売り・人事部長)「有望なリーダー候補が割合的に多い」(物流・人事担当役員)という意見が多く聞かれました。
ヒアリング調査から見えてきた氷河期エリートの特徴は、次の4点です。
① 自立した考え
恵まれた会社生活を経験した昭和世代・バブル世代と違って、苦難続きだった氷河期世代は会社や上司を信用していません。会社は会社、自分は自分ということで、自分なりの確固たる考えを形成しています。
「私のような昭和世代だと、周りに人がいると安心しますが、氷河期世代は周りに人がいてもいなくても自分のペースを崩しません。過度に空気を読まずに自分の考えを表明しており、大したもんだと思います」(金融・経営者)
② 顧客視点で率先垂範の行動
傍観していると状況が悪化してしまう時代を生きてきた氷河期世代は、様子見せず率先垂範で行動します。また、他の世代では優勢な「まず会社のため」という考えが弱く、顧客第一で行動するのも特徴です。
冒頭で紹介した日本IBMの村田社長について、山口明夫前社長は、「頑固なまでに顧客視点に立てる」と評しています。村田社長が顧客の要望に応えようと社内を駆け回る姿を何度も見てきたとのことです(※)。
(※)日本経済新聞電子版7月27日配信「日本IBMの村田将輝次期社長 困難いとわず顧客視点貫く」より

