8月から医療費の「高額療養費制度」が見直され、多くの所得区分で1カ月の自己負担の上限が引き上げられました。一方、1カ月の上限とは別に「年間上限」が新設され、長期療養などでの医療費負担が重くならない配慮も設けられました。具体的にはどれくらいの負担増になるのかを解説します。
高額療養費制度は、1カ月に自己負担した医療費が所定の上限である「自己負担限度額」を超えたときに、超えた金額が払い戻される制度です。保険適用の医療費の自己負担は年齢や所得に応じて1~3割に抑えられていますが、それでも医療費(10割)が100万円かかれば3割負担で30万円になってしまいます。このようなときに、高額療養費制度を利用すれば1カ月ごとの負担額を一定に軽減することができます。
今回の見直しにより、「自己負担限度額」が引き上げられました。高額療養費の自己負担限度額は、年齢ごと、所得ごとに定められた計算式で算出されます。このため、実際の増加額は所得区分やかかった医療費の額などによって異なりますが、基本的には多くのケースで負担増になります。
年収約370万~770万円相当の場合、医療費が100万円かかったときの自己負担限度額は7月までは8万7430円でした。これが8月からは同じケースでも自己負担限度額が9万2940円になるため、1カ月当たり約5500円の負担増になります。
「多数回該当」で負担が軽減される
1カ月の自己負担の上限が引き上げられれば、治療が2カ月、3カ月と長期にわたったときの負担はさらに重くなってしまいます。先ほどと同じ例で、医療費の負担額が毎月、上限額の9万2940円かかり続けた場合には、1年間の自己負担額は単純計算すれば100万円を超えてしまいます。
このようなケースに対応すべく、高額療養費制度には従来から「多数回該当」という仕組みがあり、負担した医療費が自己負担限度額を3回以上超えたとき(直近12カ月中)には、4回目からは自己負担限度額の水準が下がります。年収約370万~770万円の場合は、月4万4400円に軽減されます。

