今、あちこちの自動車メーカーから「開発期間を短縮する」という宣言が出ている。ホンダは「開発費」「開発期間」「開発工数」をそれぞれ半分にする「トリプルハーフ戦略」を打ち出しているし、三菱自動車は36カ月の開発完了を目指すと宣言した。
そして日産自動車は、従来50カ月であった開発期間を、プラットフォームから作る新型車で37カ月、継続モデルの場合では30カ月にまで短縮するという。ホンダの“ハーフ”には、届かないが、それでも驚くべき短縮だ。
実際、すでに日産は、中国で発売した新型EVセダン「N7」で、開発期間36カ月を実現している。N7は東風日産の仕事とはいえ、日産本社としても、37カ月(継続で30カ月)という数字は夢物語ではないと言えるだろう。
開発期間短縮が生み出すメリットの数々
では一体なぜ、あちこちの自動車メーカーが、開発期間短縮を目指しているのだろうか。そこには、いくつものメリットがある。
まず言えるのは、開発期間が短ければ短いほど、開発にかかる費用が安くなるということだ。人件費も安くなるし、工数が減ることで試作品などを作る費用も減る。
その開発費低減は当然、販売価格にも反映される。つまり、クルマの価格が安くなるのだ。また、短い時間で商品を世に送り出せれば、市場の変化にも対応しやすい。
EVを推す政策があるからEVを作ろうと考えていたのに、国のトップが変わってEVの優遇政策が撤回されてしまった、という実例もある。
AIの登場とその急激な普及のように、ユーザーの関心が一気に変化することもあるだろう。そうした市場の急変にも、開発期間が短ければ、タイミングよく新商品を投入することが可能となるのだ。
さらに言えば、中国という強敵の存在も大きい。「996=朝9時から夜9時まで週6日働く」、「007=0時から24時まで週7日働く」といった中国の猛烈な働き方が問題になっているように、中国自動車メーカーの開発スピードは、恐るべきものがある。

