バランスのとれた車両を開発するための体制となるが、丁寧な合意形成には、どうしても時間がかかる。そこで、今回は「PD」と「CPS」を集約して「PD with CPS」とした。この「PD with CPS」と「CVE」の両輪で回す、2者体制である。これにより、意思決定が各段に早くなったという。
そして最後の施策が「AI/DXの活用」だ。AI/DXはデジタルフェーズでも当然、導入されているが、今回の特に「試作」「実験」「生産準備」のフィジカルフェーズで効果が大きかったという。
説明によると、「実験」へのAI/DX導入は、劇的な時間短縮をもたらしたという。たとえば、車両の整備のしやすさなどを確認するのにVRを使えば、実物がなくても大丈夫だ。
衝突実験でのデジタルツイン(デジタル空間での再現)の精度を高めれば、派生モデルの衝突実験が劇的なまでに楽になる。膨大な回数の実験もAIを使えば、テストの内容の生成・シミュレーション・評価・レポートまでがあっというまに完了する。
さらに、自動運転技術を使うことで、無人走行での耐久試験や繰り返しの試験が可能となる。少ない人員での膨大な走行実験が実施され、しかも精度も高まったというのだ。
すべては「早く、安く、良いクルマを開発する」ため
こうした日産の開発期間短縮を、日産の山口氏は「PCS-T(プロダクト・クリエーション・システム-トランスフォーメーション)」であると説明する。
製品を作り出すシステムを変形させる、というわけだ。もちろん、その目的は「早く、安く、良いクルマを開発する」ことである。
では、本当に「早く、安く、良い」新型車が登場するのであろうか。早いという意味では、もうすぐに答えは出る。日産がこの取り組みを開始したのが、2024年度だからだ。
つまり、30カ月で開発可能な継続モデルは26年冬前には完了するし、新プラットフォームからの開発であっても、27年夏前には37カ月が到来する。これらのタイミングで、新型車が登場すれば、開発期間短縮が現実になっている証拠になるだろう。
また、「安く、良い」かどうかは、新型車の内容次第となる。具体的に言えば、次の新型「スカイライン」だ。日産は、次世代のスカイラインが、その新手法で開発されていると明らかにしている。
新型スカイラインが、本当に「安くて良い」クルマであれば、今回の開発期間短縮は大成功と言える。まさに試金石となる存在になるのだ。どのような仕上がりになっているのか、楽しみである。

