ちなみに、世帯主の年齢階級別家計資産額は、次の通りだ。
- 30歳未満……256.8万円
- 30代……870.1万円
- 40代……1903.5万円
- 50代……2906.7万円
- 60代……4035.1万円
- 70代……4090.3万円
- 80歳以上……4386.0万円
60代以上では、いずれも平均値が4000万円を超えている。この世代は持ち家が多く、住宅や土地を含めると、家計資産総額の平均が4000万円を超えるというわけだ。
ただし、総世帯の家計資産総額の中央値は1422万円で、平均値のほぼ半分にとどまる。この金額を高いとみるか、少ないとみるかは判断が分かれるところだ。
また、高齢世帯の資産には、自宅の土地や建物も含まれる。60代以上の平均値が4000万円を超えるからといって、高齢者の多くが自由に使える金融資産を4000万円以上持っているという意味ではない。
「老後資金4000万円必要説」は本当か
日本の格差社会が注目される中で、出てきたのが老後資金4000万円必要説だ。
この説は、消費者物価上昇率が年3.5%という高いインフレ水準で20年間続くと仮定した試算に基づいている。
年3.5%の物価上昇が10年間続けば、現在の2000万円と同等の購買力を維持するために必要な金額は約2821万円になる。20年間続けば約3980万円となり、ほぼ4000万円になるというシミュレーションだ。
やはり極端な前提と言っていいのかもしれないが、計算自体は間違っていない。ただし、すべての世帯に一律で4000万円が必要という意味ではない。受け取る年金額、住宅費、生活費などによって、必要な老後資金は大きく異なる。
第一生命経済研究所は、世帯主の年齢が上がるにつれて高齢無職世帯の収支不足が縮小することを考慮し、年2%のインフレを前提に、30年間の老後資金を1144万円と試算している。
さらに、二人以上高齢世帯の貯蓄額中央値1604万円を基準にした場合、同レポートの試算上、生活可能期間は46年強になるという。
2%程度のインフレであれば、同レポートの前提では、二人以上高齢世帯の貯蓄額中央値で46年強の生活が可能になるというわけだ。
ただし、これは平均的な収入や支出に基づく試算であり、すべての世帯に当てはまるわけではない。年金額、住宅費、医療・介護費、生活水準などによって結果は大きく変わる。
インフレが年3.5%の状態で20年間続くとは限らない。だからといって、今後の物価上昇を無視していいわけでもない。
つまり、4000万円という一つの数字に振り回されるのではなく、自分の年金額や生活費を基に、必要な老後資金を考える必要があるということだろう。焦って、慌てて投資に走る必要もない、ということかもしれない。

