廣瀬さんは以前、あるパスタチェーンでM・L・LLの3サイズを同一価格で提供する業態の開発に携わっていた。客がどのサイズを何割ほど注文するのかを予測し、採算が成り立つラインを見極めるうえで、当時の知見が大いに活きたのだ。
その知見と、器に盛り付けた時の見た目のバランスも加味して、1玉の重さは150グラムにした。廣瀬さんによると、他社のうどんチェーンよりやや少なめで、冷凍うどん1玉ほどの量をイメージしたという。
「もちろんお腹いっぱい食べてもらうことも大切ですが、自分に合った量を選べる仕組みも大事です。1玉を150グラムほどにすれば、ご年配の方でも食べやすい。2玉、3玉を注文するハードルを下げられるとも考えました」
1玉を150グラムにした狙いは、他にもある。天ぷらや丼もの、ご飯ものとの組み合わせを存分に楽しんでもらうためだ。
「今日はうどん1玉に天丼で」「今回は2玉と天ぷらにしよう」といった食べ方ができるのも、玉数を選べる仕組みならではの魅力と言える。
「その日の食欲や気分に合わせて選べる使い勝手の良さ、豊かさを感じてもらえたらと思っています」
客単価1000円を実現する原価戦略
4玉まで同一価格というだけでも十分に太っ腹だが、さらに驚かされるのは、想定客単価が1000円に設定されていることだ。セルフ式のうどんチェーン店を利用した場合の支払額に近い水準であり、フルサービスの店にしてはかなり抑えられている印象を受けた。
客単価を1000円にした理由を廣瀬さんに尋ねると、話は昨今の物価高を踏まえた価格設定の難しさにおよんだ。
40年以上にわたり業態開発に携わってきた廣瀬さんも、これほど急激な物価上昇は経験したことがないという。4玉まで同一価格、かつフルサービスで客単価1000円は、採算が成り立つぎりぎりのラインだった。
それでも、オープン当初から客単価を1000円超えで設定することには慎重だった。将来さらに値上げせざるを得なくなった時に「割高な店」という印象を持たれ、客離れを招く恐れがあると考えたからだ。
加えて、源次郎ならではの強みを明確に印象づけたい狙いもあった。
「お客様に『税込1000円以内でお腹いっぱいになれる店』というイメージを早く定着させたかった。だからこそ、この価格帯は譲れませんでした」
客単価1000円を成立させるために、原価を抑える様々な工夫を取り入れた。その一つが店内製麺だ。

