謝罪に関する研究では、謝罪はコストがかかっているほど誠意が感じられ、受け手の脳内で相手の意図を読み取ろうとする働きが強く活性化することが示されている(※1)。補償の申し出、時間をかけた対応、儀礼を尽くした体裁——手間やコストをかけた謝り方ほど「本気度」が伝わりやすいという知見だ。
この視点で見ると、改行を多用したポエム調の文書や、普段着に近い半ズボン姿は、いずれも「コストをかけていない」ことを視覚的に示すサインとして機能してしまったと考えられる。正式な謝罪文に求められる宛名・時候の挨拶・儀礼的な構成、あるいは謝罪の場にふさわしいスーツという装い——これらはどれも「あなたのために、これだけの手間をかけました」という無言のメッセージなのだ。
「見た目」は、自分自身の思考や振る舞いにも影響を与える
文字そのものの見た目についても、示唆的な研究がある。フォントや文字の視覚的特徴と印象形成の関係を調べた研究では、堅めの書体が信頼性やフォーマルさと結びつき、砕けた書体はカジュアルさや親しみやすさと結びつく傾向が報告されている(※2)。
企業の重要な発表文書に、丸みを帯びたポップな書体が使われることがまずないのも、この傾向を経験的に踏まえた結果だろう。改行の多いポエム調の文体は、いわば視覚的に「カジュアル寄り」の様式であり、本来もっともフォーマルさが求められる局面で選ばれてしまったことが、内容以前に誤ったシグナルを発してしまった一因と考えられる。

