山本 なるほど……。あえて不快な身体的行為を共有することがパーソナリティ機能の向上につながるんですね。いくら便利で効率的だからといって、ただ不快なものを除いていけばいいというわけではない。
益田 そもそも不快なものはなくなりませんし、あくまでAIは道具です。AIによってまったく新しい社会ができるわけではなくて、今までの人類の延長線上でしかありませんから。AIを使えば高速でシミュレーションをしたり、PDCAサイクルを回したりはできるけど、それだけじゃないかなと思います。騙される人は騙されるだろうし、賢くなる人はより賢くなる。
心身の不快感や摩擦を避けてはいけない
山本 AIに騙されず、支配されず生きていくためには心身の不快感や摩擦を避けてはいけないのですね。
益田 さらに言えば、AIが提供する心地よい場所に居続けるのではなく、外へ出ること。異なる価値観や考え方を持つ人たちと逃げずに向き合っていくのが大事なんです。
昨今、国際情勢が緊迫していて「国際法を守る」ということも当たり前ではなくなっています。
その時に「国際法を破る国はダメだ、すべて間違っている」と法律に則って良し悪しを管理社会的に考えるのではなく、「国際法を破った側には何か別の考え方があるのかもしれない」「悪いことではあるけど、この行動があの国にどんな利益をもたらすのだろう?」など、相手の視点に立って深く考えることが重要ではないでしょうか。それが人間として成熟していくことにつながります。

