これまでの研究で、多少とも昼寝をする傾向を持つ97のDNA断片が特定されており、ヴィクトリアもその事実に基づいて研究を進めた。そして3万5000人を対象に97の断片を調べ、「遺伝的に昼寝をする人」と「遺伝的に昼寝をしない人」を比較した。
その結果、昼寝をする人の脳のほうが15立方センチメートル大きくなっていた。これは小さなプラム1個分ほどの体積だ。
考えてみてほしい。そこに何百万もの脳細胞や神経接続が詰まっているのだ。
認知機能や脳の健康に対する影響は、人生を変えるほどだろう。
脳を活性化させる「30分以内」の仮眠ルール
とはいえ、遺伝的に昼寝をしない人が習慣を変えられないわけではない。
誰でも新たな運動の日課や食習慣を採り入れられるように、遺伝的に昼寝をしない人でも日常生活で昼寝を始め、同じように脳の健康効果を得られる。
私たちは習慣やライフスタイルで何を選ぶかによって、思っているよりも簡単に遺伝的な傾向を変えることができるのだ。
では、どれくらい昼寝をすればよくて、どれくらいだと寝すぎになるのか?
ヴィクトリアの研究によると、最も効果的な昼寝は30分以内とされている。それ以上長いと、頭がぼんやりして、一時的に思考力が低下することもある(長い目で見れば、長時間の昼寝は脳の機能改善に役立つ可能性がある)。
一方で30分程度であれば、脳の力がすぐに活性化して頭が冴えわたる。
ただし、その効果は長続きしない。だからつねに頭をすっきりさせておくには、毎日短時間の昼寝を心がけよう。
仕事のある日に30分の昼寝をするにはどうすればいいのか、ヴィクトリアに尋ねてみると、シンプルな答えが返ってきた。
「仕事を半分終えたところで、昼寝をするのが理想的です。昼休みに寝ることから始めて、いつかその習慣が社会に根づくまで続けてください」
個人的には、昼休みには昼寝をしたくない。せっかくの貴重な休憩時間を奪われるような気がするからだ。だったら、昼寝のために新たに30分の休憩を設けるのはどうか。そう提案すると、ヴィクトリアはにやりとした。

