ちょうど今から26年前、20世紀から21世紀への転換の年である2000年に、国連は貧困を世界からなくすことを決意して「ミレニアム宣言」(Millennium Development Goals)を採択した。あれからすでに四半世紀がすでに過ぎた。
さて、その後貧困問題は解決へと向かったのだろうか、それとも頓挫しているのだろうか。それともまったく新しい事態が生まれたのだろうか。
なぜ先進国で貧困が発生したのか
100年以上前、日本である新聞連載記事が注目を浴びた。時は1916(大正5)年、『朝日新聞』に「貧乏物語」という記事が掲載された。翌17年には書物となり、たちまちベストセラーになる。筆者は河上肇(1879~1946年)で、当時は京都大学で経済原論を担当する若き教授であった。

この書物が扱ったのは、イギリスの経済学書であった。1900年前後のイギリスでは統計学の発展とともに、貧困に関する統計が出版され、貧困問題に関心が集まっていた。
イギリス人の関心は「先進国であるイギリスで、なぜ貧困が存在するのか」という問題であった。
21世紀の貧困問題は、発展途上国の貧困であった。2000年9月6日、採択された「ミレニアム宣言」は、いささか楽観的なものであった。それは、1991年のソ連崩壊と、それにともなう世界資本主義の勝利、そしてグローバリゼーションによる、発展途上国の急激な経済成長という前提があったからである。
もちろん97年にはアジア危機があり、発展途上国の経済成長への期待に陰りも生じていた。
グローバリゼーションに反対する運動が各地で起こり、オルタ・グローバリゼーションという下からのグローバル運動も起こっていた。99年にアメリカ・シアトルで開催されたWTO(世界貿易機関)会議に対する反対デモは、その象徴的出来事であった。

