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「貧困は消える」という幻想はなぜ崩れたのか、国連も著名経済学者も読み切れなかった世界経済の大転換

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2000年、国連のミレニアム宣言は25年には貧困をなくすとしたが……(写真:mrmohock/PIXTA)
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こうした議論は世界の貧困問題の解決に明るい希望を与えたが、一方で次の点を忘れていた。こうした投資は、あくまでも彼らの賃金が低い限りであり、さらに低い賃金と質の高い労働力があると、そちらに移転し空洞化を生み出してしまうということだ。

外国資本のたんなる流入は、途上国の経済発展や経済構造の変革を遅らせ、先進国依存を生み出す。サックスは2025年までに貧困はなくなるのだと述べていた。今はすでに26年だが、なくなっていないどころか、まったく新しい問題が出ている。

後進国の貧困問題は、逆に先進国の貧困問題を引き起こしてしまった。それについてショッキングなデータを突きつけたのが、トマ・ピケティとブランコ・ミラノヴィッチである。

ミラノヴィッチの「エレファントカーブ」

この2人の書物は、とりわけ先進国の労働者の貧困化という点で、後進国ではなく先進国のほうに衝撃を与えた。ミラノヴィッチは、『大不平等』(みすず書房、17年)の中で、「エレファントカーブ」という象の形をしたグラフを提示することで衝撃を与える。

このエレファントカーブは、先進国では中産階級の所得が下がり、富裕階級の所得が大きく上昇していること、そして中心国といわれる発展途上国の中産階級の所得が増えていることで、先進国で中産階級の貧困化が進んでいることを証明した。

つまり、21世紀グローバリゼーションの時代、先進諸国には、新たな形で貧困問題が生じたというのである。

ピケティも、先進国経済の構造変化を『21世紀の資本』(みすず書房、14年)の中で示した。この書物は経済学の専門書で大部であるにもかかわらず、アメリカで爆発的に売れ、さらに日本でも14年に大きな話題となった。

この書物は、資本主義下における新たな貧富の格差を提起した。労働者の中で労働所得のみの労働者と、株式投資をしている労働者との間に生じる格差であり、労働所得しかない労働者と、株式配当所得を得る労働者との間の階級内分裂であった。

この議論の出現以降、労働者が株式配当所得を得ようという風潮が高まったことは確かで、海外に移転した工場によって先細りしていった先進国では、労働所得ではなく、海外投資をした資本の配当によるインカムゲインによって生きるべしという議論が高まる。

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