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「貧困は消える」という幻想はなぜ崩れたのか、国連も著名経済学者も読み切れなかった世界経済の大転換

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2000年、国連のミレニアム宣言は25年には貧困をなくすとしたが……(写真:mrmohock/PIXTA)
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期待と不安の混交の中で宣言されたミレミアム宣言には、貧困からの解放に向けた目標が設定されていた。

「2015年までに、世界で収入が1日1ドル未満の人々の割合、および、飢餓に苦しむ人々の割合を半減させるとともに、同年までに、安全な飲み水を物理的あるいは金銭的に確保できない人々の割合も半減させること。2020年までに、「スラムのない街」構想で提案されたところに従い、少なくとも1億人のスラム住民の生活を大幅に改善すること」(「国連ミレミアム宣言」)

ここでは確かに、20年以内に世界から貧困を撲滅することが宣言されたのである。

『フラット化する世界』と『貧困の終焉』が示したこと

当時いくつかの書物が話題になった。その1つがトーマス・フリードマンの『フラット化する世界』(日本経済新聞社、06年)で、もう1つがジェフリー・サックスの『貧困の終焉』(早川書房、08年)であった。

フリードマンは、インド・ベンガルールのIT産業の話から始め、後進諸国の発展を語る。やがて貧困はなくなり、世界がフラット化(平均化)するというのだ。

「世界をフラット化して縮めてゆくグローバリゼーション3.0は日増しに欧米の個人だけでなく多種多様な――非欧米、非白人の――個人の集団によって動かされるようになっている。フラットな世界のあらゆる国々個人が力を持ち始めている」(『フラット化する世界』、上巻、24ページ)

国連のミレミアム宣言の動きを背景に、世界の貧困は次第になくなり、フラットな世界が生まれると主張しているのだ。グローバリゼーションがもたらした不都合な問題を無視すれば、こうしたことが言えたかもしれない。

一方のサックスは、発展途上国での体験を通じて仮説を立てる。貧困の撲滅は、世界の資本が発展途上国に投資されることによって可能だと。世界のサプライチェーン化によって後進諸国に工場が建設され、そこで雇用が生まれ、少しずつ所得が上がるというものだ。そしてバングラデシュの縫製工場の話の中でこう断言する。

「どれほど希望のない環境に見えても、正しい戦略をとれば、そしてそれと並行して正しい資本投入が出来れば、前進することが可能だと教えてくれるのがバングラディシュである。――こうした労働搾取(低賃金・長時間労働)は先進国の抗議の的になっている。そのような抗議は、彼女たちの安全と労働条件の質を高めるのに役立ってきた。しかし、豊かな社会で抗議活動を繰り広げている人々は、そのような仕事はむしろ増えるように――ただし、安全な労働環境のもとで――働きかけるべきなのだ」(『貧困の終焉』、49ページ)

貧困の原因が資本不足ならば、海外からの資本をどんどん受け入れ、それによって先進国向け工場を誘致し、仕事を多くつくれば貧困はなくなる。これは一面、間違っていない。しかし、問題はその後である。

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