台車に付けられたセンサーには発電機能があり給電ケーブルは不要。また、通信も無線で行うため、台車周辺に複雑な配線作業を行う必要はない。このセンサーで取得した振動のデータを常時モニタリングし、わずかな振動の違いを分析することによって、ベアリングだけでなく、車輪、モーターなどの異常の予兆を発見できるようになった。さらに、この仕組みを活用して、線路の異常予兆や乗り心地の診断も可能となった。
集大成は「コペンハーゲンメトロ」
また、架線のモニタリングについては、従来は車両の屋根に設置したカメラが撮影した画像データを走行後に取り出して、地上で分析していたが、車上に分析機器を設置してリアルタイムで異常の検知や分析を行うことができるようになった。貨物列車が走行するため危険を伴う夜間の線路点検作業にもAIが活用されるようになり、安全性が大幅に改善された。
「このように現場の課題を1つずつ解決し、そのソリューションを集めたものがHMAXである」と安達氏は話す。
デンマークのコペンハーゲンメトロは現時点での集大成と言える。日立は開業時の2002年から車両や無人運転システムを納入し、保守事業も担ってきた。2022年ごろから運行・保守のDXについて事業者と検討を開始し、2024年にHMAXを導入した。「従来は車両担当、信号担当などそれぞれの担当者が担当機器の状態を確認し、異常時の対応を行っていたが、統合管理システムを導入して、系統をまたがった全体の状態把握が可能になった」という。

