日本の鉄道業界における初のHMAX導入事例は東武鉄道である。現在、ICタグによる業務プロセスの可視化、車両検査の自動化といった取り組みが行われており、その内容は2026年2月9日付記事(日立、まだ知られていない「鉄道DX」日本国内の実態)で紹介したが、安達氏は「始めからソリューションの導入ありきで進めなかったという点が重要」と強調する。
まず、東武が抱える課題をしっかりと確認し、その課題を解決したときにどのくらいの費用対効果があるか、この「上流工程」に多くの時間を割いたという。東武の年間の予算も踏まえながら、「この金額だったら入れられるよねという話になった。費用対効果を考え、お客様が得する仕組みを作った」。
高所作業を減らし安全性向上も
京王電鉄とも長年にわたり車両のデータ分析をはじめとしたさまざまなデジタル活用について共同で検討を重ねてきた。京王電鉄によれば2023年から高幡不動検車区において車両の外観検査装置の検証・設置を進めており、屋根上部のモニタリングについて、AI支援機能(点検対象機器の画像切り出し)を実装したシステムを2025年8月から運用開始した。点検作業の効率化だけでなく、高所作業を減らすことで安全性の向上にも貢献できるだけに期待は大きい。
東武、京王、それぞれに異なる取り組みが行われているが、安達氏は「民鉄業界ではAIの技術を1つの会社だけで持つのではなく、業界で共通化していこうという流れがある。当社としても各社と協調しながら、業界全体のプラットフォームにしていくことを目指している」と話す。
HMAXが目指しているのはこれだけにとどまらない。物理的なセンサーを付けて、そこから出てくるデータをAIで分析するのは「狭義のHMAX」だという。では、「広義のHMAX」とは何か。

