彼が使っていたのは、驚くほど薄く、そっけない参考書ばかりだったのです。
解説は最小限、図もほとんどなく、白黒でシンプル。正直、最初に見たときは「こんな情報量の少ない本で、よく勉強できるな」というのが本音でした。
しかし、模試の成績はAくんのほうが圧倒的に上。自分はどうしても納得がいかず、あるとき彼に直接聞いてみました。
「なんでその参考書で成績が上がるの? もっと詳しく書いてある本のほうがよくない?」
Aくんの答えは、私の常識をひっくり返すものでした。
「参考書は、情報が少ないほうがいいんだよ」
「わかりやすさ」が思考力を奪っていく
彼は続けて、こう説明してくれました。
情報がびっしり詰まった参考書は、読んでいる間はわかった気になれる。でも、書いてある内容を「受け取る」だけで頭を使わないから、結局頭に残らない。
一方、情報が少ない参考書は、行間を自分で埋めなければならない。「これはどういう意味だろう」「なぜこうなるんだろう」と自分で考える時間が強制的に発生する。その考える時間こそが、知識を自分のものに変えてくれるのだ、と。
この言葉に、自分は衝撃を受けました。そして、その日を境に自分の勉強法を根本から変えました。
分厚い参考書を手放し、あえて情報量の少ない、そっけない参考書へ移行したのです。そこから、面白いように成績が伸び始めました。

