サブスクの定着は、ある意味で、これまでとは異なる消費行動をもたらしている。例えば、サブスクの大きな特徴である「自動更新」は、忘却型消費とも呼ばれている。使っていないのに解約を忘れたまま料金を払い続けてしまう忘却型消費もまた、サブスクの特徴と言っていい。月額数百円程度という手軽な金額も忘れる要因になっている。いわば、サブスクは電気や水道、電話代などと同様にインフラの一部になっている。
とりわけ、20代、30代のユーザーにとって、サブスク料金は通信費などと同じく、毎月の固定費の一部として受け止められつつある。アルゴリズムによる強力なレコメンド機能と、自動更新による忘却型消費によって、我々の消費行動は大きく変わってしまったと言っていい。
ストリーミングによる世界配信の広がり
こうした現実の中で、サブスクによって音楽などのコンテンツ流通や消費のあり方が大きく変化している。国際レコード産業連盟(IFPI)の「グローバル・ミュージック・レポート2026」によると、世界のストリーミング有料会員数は8億3700万人に達した。2025年の世界の録音音楽売上は、前年比6.4%増の317億ドル(約5兆円)となり、11年連続で市場が拡大。初めて300億ドルの大台を突破したと報道されている。
とりわけ成長を促進したのがストリーミングの拡大であり、ストリーミング全体は世界売上の69.6%を占める。有料サブスクリプション型ストリーミングは前年比8.8%増となった。ちなみにCDやアナログレコードといった「フィジカル」の売上高も前年比8.0%増となり、2025年は増加した。音楽市場全体が成長している、と言ってもいいだろう。
また、日本の音楽市場も拡大を続けており、「オリコン・リサーチ」の調査によると、音楽ソフトとデジタルを合わせた2025年の音楽市場の推定総売上金額は6410.7億円となり、前年比6.7%増となった。2019年以降で最大の売上実績を記録したと発表されている。
ストリーミング配信は、日本では他の国に比べてかなり遅れていたのだが、ここに来てやっと定着してきたとも言われている。その背景には、日本では長いこと、アイドルの握手会や特典付きCDなど、CD=現物の販売を支えるビジネスが長く存在し、サブスクのストリーミング配信による利益を十分に重視してこなかったところがある。とはいえ、日本レコード協会の生産実績では、CDは1998年の生産金額5878億円から、2021年には1232億円にまで縮小。2025年には特典付きCDやアナログレコードの好調などでやや持ち直しているものの、厳しい状況が続いてきた。

