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"有名校長"が去った後どうなった?公立の学校改革は難しい、「大胆」だけではない本当に必要な視点

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学校集会
(写真:viola / PIXTA)
  • 前屋 毅 フリージャーナリスト
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現行の学習指導要領には、「生きる力」のために「主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力」を養うことが記されている。しかし、実際はどうだろうか。教員が指示し、その指示を生徒は待つだけになっていないだろうか。

西郷氏が学習指導要領を意識していたかどうかはわからないが、まさに学習指導要領を実践していたことにもなる。自分で考え行動する場である生徒総会で、定期テストの廃止が提案され、決まった。約束どおり、それに従って、定期テストは廃止された。

その定期テストが、現在は復活している。実は廃止後に、復活を望む声が生徒や保護者からあったという。定期テストのときだけ勉強するほうが楽だと考える生徒もいたし、定期テストがなくなることで、いわゆる学力の低下を心配する保護者もいたのだ。

そういう意見もあるので、再び生徒総会で議論した結果として定期テストが復活したのなら、それもまた「自分で考え、行動すること」である。しかし、実際は違ったらしい。

「新しい校長が、なかば強引に復活させました。定期テストをやるかどうかは生徒が決めることではなく、学校が決めることだという理由でした」と、元桜丘中学教員が教えてくれた。

定期テストが廃止された西郷時代の桜丘中学では、「積み重ねテスト」が実施されていた。定期テストはやらないが、単元が終わるなどのタイミングで生徒が理解できているかどうかを確認するためにやる「小テスト」である。定期テストがあるよりテストの回数は増えるため、「まだ定期テストがあるほうがいい」という生徒もいたようだ。

現在、定期テストは復活した。それなら、積み重ねテストは廃止になってもいいはずだ。定期テストをやらないかわりに積み重ねテストを導入したのだから、一方が復活したのなら一方は廃止されるのが道理である。しかし現在の桜丘中学では、定期テストもあるが積み重ねテストもあるという。

復活したものに、授業の開始と終わりを告げるチャイムもある。西郷時代の桜丘中学の生徒たちは、時間に合わせて自分たちで判断して授業開始の準備をしたりしていた。今は生徒たちはチャイムに合わせて動く。

公立は「校長が代われば校風も変わる」

西郷時代と比べれば、今の桜丘中学は大きく変わってきているようだ。しかし、西郷氏が桜丘中学を去ってすでに6年が過ぎている。生徒も保護者も代わっていて、西郷時代を知らず、今の環境に慣れている。そのせいか現在の桜丘中学の生徒や保護者からは「西郷時代に戻せ」という声は聞かれないようだ。

教員にしても同じで、公立学校の場合、6年もすれば異動で多くが入れ替わるので、西郷時代を知らない教員も多いはずだ。もっとも西郷時代の教員全員が、西郷氏の方針に賛成していたわけでもなく、反対や不満の声もあったという。西郷氏のやったことすべてが正義ではないし、西郷流を神格化する必要もまったくない。しかし、今も引き継がれていていいものも、たくさんあったのではないだろうか。

いずれにしても、桜丘中学は西郷時代とは大きく変わっている。変わっても、西郷時代のように話題になったり注目される存在になっていないのも事実である。それは、「普通の中学校」だからかもしれない。

公立学校は、「校長が代われば校風も変わる」といわれる。だからこそ西郷氏も大胆な改革を行って桜丘中を変えられたといえる。逆に新しい校長が西郷時代を否定しても不思議ではない。

とはいえ、生徒のためになることであれば残すという判断があってもよかったのではないか。また校長が代わっても持続可能な取り組みであったかどうかという視点も必要だろう。

西郷氏時代の桜丘中学から“現在の桜丘中学”に変えた校長にも、それだけの理由があるはずである。それを聞きたいと思って、桜丘中学に取材を申し入れたのだが、「辞退します」の一言で断られてしまった。

「今は外部からたまに見るだけでしかないし、まったく個人的な感想でしかないのですが、西郷さんの時代に比べれば、今の桜丘中学の生徒たちには活気が感じられなくなりました」と、西郷時代を知る保護者が言ったことが印象的だった。

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