ですから仕事でも、効果や機能が明らかでないと「それって意味なくね?」と切ってみせたくなります。ましてや自分が貴重な時間と労力を割いて関わる仕事となれば、「意味なくね?」と言われるような作業であってはならないのです。
本当にムダな仕事はどんどんなくすべきです。ただ仕事の中には、表面的にはわかりにくい意味や価値のある仕事も、実際はたくさんあります。
どんな会社の仕事にも、社会の中で求められる役割や、社会に提供している価値があるはずです。そこで得られる自己効力感と自己成長への筋道を言語化してあげられるかどうかで、若者から見た企業の魅力は大きく変わります。
「いい離職」と「悪い離職」の違い
がっかりされるかもしれませんが、離職リスクをゼロにすることはできません。なぜなら、さまざまな能力を持った人たちで組織をつくり、組織力と仕組みで事業拡大を目指すレバレッジ経営においては、離職ゼロということは新陳代謝がないのと同じだからです。
一定範囲で人の入れ替えがあるからこそ組織は活性化し、成長していくものです。どんなに有名で働きやすい会社でも、どんな素晴らしい経営者のもとでも、離職する社員はいます。もちろん、キャリアのある人が抜けてしまうのは小さな会社にとって大打撃です。しかし本人の幸福が転職や独立にあるのだとしたら、受け入れるほかありません。
ただし、「いい離職」と「悪い離職」があることは、意識しなければなりません。いい離職は、何より本人の人生が幸福に向かう離職です。では悪い離職とは何でしょうか? それは、辞める本人には理由があるのに、社長や上司にはまったく伝わっていないケースです。
社長から見れば特に問題なく働いていたし、表立って不満を言うこともなかったのに、突然「辞めたい」と言われてしまうことがあります。このようなときに起きているのは、本人は真面目だから仕事はするけれど、実はやりがいを持てていなかったというような、見えないズレです。
社長や上司は普通に接していたつもりでも、本人はハラスメントレベルでつらく感じていた、というズレもあり得ます。
近年は、何も言わないまま「退職代行」を利用して辞めてしまう人も少なくありません。もちろん、「辞める」と口にできないようなブラック企業はよくありませんが、単純に引き留めにあったり、話し合ったりする時間がもったいないとドライに考えて退職代行に頼る人もいるでしょう。

