このような、なぜかわからないけど辞められてしまう問題も、根っこには言語化不足があります。社員が本音で話してくれないと悩む社長がいますが、社員からも社長の頭の中は見えません。
何を求められていて、いつまでに何ができれば、どのくらい会社の役に立つのか。そしてそれが、社員自身にとってどんな意味があるのか。そういったことを積極的に言語化しておかないと、社員は成長実感や自己効力感を得られません。
1度辞めると決めた人が翻意することはほとんどない
わからないなら聞いてくれればいいのに……と言いたいところですが、部下が上司に相談することは意外と簡単じゃない、と思ったほうがよいでしょう。
「何かあったら相談して」とふだんから気にかけていたとしても、相手は「何かあった」ときが具体的にどんなときなのか、よくわかりません。社長や上司は会社にいないことも多いし、メールで相談すると大げさな感じもするし、きっかけがないまま、いい転職先が見つかってしまったりするものです。
1度辞めると決めた人が翻意することはほとんどありません。
あとは退職の手続きだけで、視線は次の会社に向いていますから、自分で伝えようが、退職代行で伝えようが、ストレスなく終われば何の問題もないのでしょう。会社側としても、誰が伝えてくるかの違いだけで、手続きがそこまで煩雑になることはありません。
残念なのは、大切な人材を失うことと、辞めると決める前に言葉を十分に交わすことができないことです。
人材育成について言語化しておけば、言外の不幸なすれ違いを極力防ぐことができます。会社が求めていること、社員が求めていることがすべて話し合いのテーブルに乗り、お互いに理解したうえでの退職ならば、前向きにとらえることができるはずです。


