また、沼袋界隈の工事は鉄道だけではないという。
「平和公園通りの拡幅も計画の一部なんです。現在は一方通行ですが、ここを幅員14メートルの上下2車線に拡幅する計画です。踏切がなくなって、道路も広がるから車はぐっと便利になるんだけど、商店街としては不安な面もあるんです。現在の道幅は7メートルほどですから、こっちの店で買い物をして、道をちょっと横切ってお向かいのお店に行ってみる、ということもしやすいけど、14メートルの道路になるとそういうのがやりにくくなるでしょ、お年寄りなんかはそれが怖いって言ってますね」(井上さん)
とはいえ、地上の線路がなくなれば、そこにかなり広めの土地が残る。これを有効に活用すれば、街の活性化につながると期待しているという。
「線路跡地の利用について、まだ具体的なことは何も決まっていないのですが、単なる通路や遊歩道にするんじゃなくて、博多の屋台通りのような“人が集まる場所”になってくれればと思っています」(井上さん)
「フォロワー1000万人」が訪れる焼肉屋
気になる家賃についても聞いてみた。
「中野区の中ではかなりお安めですね。そういう意味では住みやすい街ですよ。ワンルームや1Kなどのシングルタイプは、5万円台半ばから相談に乗れます。またファミリータイプは2DKあたりで8万円前後からという感覚ですね。新宿まで電車で10〜15分、JR中野駅まで徒歩で20分という立地からするとかなりリーズナブルです。中野駅界隈で探したけど、いい物件がなかったからと、沼袋を選ぶ人はけっこういます」(井上さん)
そんな話を聞いているうちに、ちょうど昼時となり、小腹がすいてきた。
アタカハウジングのすぐそばに、ちょっと気になる焼肉屋を見つけたので迷わず入ってみた。
「塩ホルモン・赤身肉 太陽(中野区沼袋3-4-16)」は地域の人気店だ。店主の伊藤陽史さんは、大阪出身。最初から沼袋で焼肉店を始めたわけではない。屋台のたこ焼き屋から事業を起こし、沼袋ではお好み焼きダイニングとして店を始めた。その後、吉祥寺の人気焼肉店「肉山」で修業し、その味に惚れ込んで、のれん分けというかっこうで焼肉業態へ転じたという。
伊藤さんは、太陽を「地元の人だけを狙った店」とは考えていない。沼袋は緑も多く、家賃もリーズナブルで住むにはいいが、わざわざ訪ねてくる街ではない。だからこそ、「ここに食べに来たい」と思ってもらえる店にする必要があると、伊藤さんは語る。
「にぎわいのある街なら、駅前の人通りだけで商売が成り立つかもしれないけれど、残念ながら沼袋はそういう街ではありません。地元客だけでも足りない。だから店そのものに目的性が必要になるんです」

