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「モフリンのグローバル展開をさらに拡大させ、ゆくゆくは大きな柱に育てたい」
6月4日、カシオ計算機の高野晋社長は中期経営計画説明会でそう語った。時計と電卓を長年の収益柱としてきたカシオが新規事業への参入を急いでいる。その主役に据えるのが、2024年11月に発売した小型AIペット「モフリン」だ。
モフリンは言葉を話さず、非言語のコミュニケーションを通じてユーザーと関係性を築く。なでる、抱く、声をかけるといった接し方によって感情が育ち、400万通り以上の個性へと成長するという。価格は約6万円と競合製品と比べると手頃だ。店頭で手に取った女性は「手のひらに収まる大きさや、もふもふした質感がいい。言葉を話さないところも、ほかのAIロボットとは違う」と話す。
売り上げとしてはまだ数十億程度だがこの事業にかける期待は大きい。モフリンを中心とする新規事業で28年度に売上高100億円、営業利益の黒字化を目指す。将来的には時計や電卓に続くような事業の柱として育てる構えだ。
中期経営計画説明会でモフリンへの期待を語るカシオ計算機の高野晋社長(撮影:梅谷秀司)
構造改革を経て新規事業を打ち立てる
背景に、直近3年間で進めてきた事業ポートフォリオの「選択と集中」がある。
赤字が続いていたシステム事業からは相次いで撤退。24年には、約40年続いていたPA(ハンディターミナル)の新規生産を停止し、続く25年には、SA(電子レジスター)の生産・販売を完全終了した。
さらに、国内では高いシェアを持っていた電子辞書事業も少子化を背景に需要が縮小し、25年には開発中止を発表。
23年には50歳以上の社員を対象に希望退職募集にも踏み切った。
様々な事業からの撤退を進めた結果、時計事業と関数電卓を中心とする教育事業が収益柱となった。時計事業は営業利益の約8割を稼ぐ。「G-SHOCK」と「カシオウオッチ」というロングセラーの2つのブランドが収益を支える。もう一つは関数電卓だ。世界ではテキサス・インスツルメンツと並ぶ2強として、新興国を中心に需要を捉えている。
時計や関数電卓は安定収益を生む一方、「成熟事業」でもある。いずれの事業も新興国など市場開拓余地があるが、成長には時間がかかる。中長期的な成長を考えると、次の軸になりうる領域の開拓は欠かせない。過去にはワイヤレスギターエフェクターやサウナ専用時計など、新たな成長の芽となる商品開発に挑戦し続けてきた。しかし、新規事業の軸として大きく打ち出されたのは、モフリンが初めてだ。
ペットロボット参入の構想は14年前からあったという。
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