卵を産む役割を終えた種鶏も売り場に並んでいることが多い。一般的に鶏肉の価値はその柔らかさに置かれがちだが、種鶏の場合は真逆。締まった肉質で歯ごたえがあり、噛むほどにうまみが出てくる。筆者も水炊きや寄せ鍋、煮しめなどを作る際には必ず使う。若鶏を使う場合と比べて、出汁のうまみと深みがまったく違うのだ。
そして、街に出ると、居酒屋や定食屋には鶏肉を使ったメニューが数多く並ぶ。以前、鶏肉が苦手だという県外の友人が宮崎を訪れることになり、一緒に食事をする居酒屋を探したところ、鶏を売りにしている店ばかりが検索結果に並び、ぴったりな店を見つけるのに苦戦した経験があるほどだ。
しかし、逆に言えば宮崎で「鶏を食べたい」と思ったとき、選択肢が多すぎて迷ってしまうということでもある。そこで、地元民からも支持されている店を紹介したい。宮崎市にある「おらが村」は、他ではなかなか見られない、鶏を使った鍋料理で人気を集める。
その料理は「鶏鍋(しゃんなべ)」といい、生の鶏ミンチを自分でつくねにしてスプーンですくって鍋に入れ、食べるというもの。火を入れすぎると固くなるため、ふんわりとしてきたくらいが食べごろ。口の中で柔らかくほどけ、鶏のうまみが広がっていく感覚はここでしか味わえない。地元民はもちろん、野球選手や芸能人なども多く訪れる人気の店なので、予約は必須だ。
鶏刺しをスーパーで買える県
さらに、独特の鶏文化といえば、鶏肉を生で食べる「鶏刺し」だろう。生まれも育ちも宮崎の筆者は、10代後半になるまで鶏刺しは全国的に食べられているものだと思い込んでいた。初めて事実を知ったとき、「こんなにおいしいものをみんな食べていないだなんて……」と、心の底から驚いたことを覚えている。
少なくとも筆者が暮らす県南西部では、鶏刺しは地元民の日常にあまりにも当たり前に溶け込んでいる。居酒屋のメニューとして並ぶのはもちろん、スーパーでも販売している。比較的手頃な価格で購入できることもあり、晩酌のお供としてはもちろん、夕食の一品として当たり前に食卓に並ぶ。部位によってその魅力は異なり、好みも分かれる。
例えば、もも肉ならジューシーで甘みがあり、むね肉ならさっぱりとしながら鶏のうまみが感じられ、ささみは柔らかな食感と上品なうまみを味わえる、といった具合だ。めずらしいところで言えば、手羽先の刺身もあり、ほどよい皮の食感としっかりとした歯ごたえが楽しめる。ちなみに、筆者が好きなのは、砂ずり。こりこりとした歯ごたえが特徴で、軽く表面を炙ってもおいしいのだ。また、厚切りか、薄切りか、なども好みが分かれるところで、好みを見つけるのも楽しい。

