昨年秋、33歳のアレックス・ベルトンが婚約者とサンフランシスコで一戸建て住宅を探し始めたときの予算は120万ドル(約1億9000万円)だった。しかし、なかなか決まらないため予算を150万ドルに引き上げ、探す地域も住宅価格の中央値が若干低いマリン郡へと切り替えた。
「私たちの最近の趣味は数字の計算。『予算を引き上げられるかどうか』をずっと考え続けているような感じだから」と、市内で看護師として働くベルトンは話す。
過熱するサンフランシスコの住宅市場に苦労している人は多いが、ベルトンもその1人だ。AIブームにより、この地域では莫大な富を持つ個人が生まれており、それが住宅価格の上昇に拍車をかけている。テクノロジー企業はAI人材に超高額の給与を支払い、一部の研究者には2億5000万ドルの報酬パッケージが持ちかけられるようにもなっている。AI企業は資金調達額の記録も次々と塗り替えている。
チャットGPTの登場後に住宅市場が様変わり
ネット不動産仲介レッドフィンの最近の報告によると、サンフランシスコ都市圏の住宅販売価格の中央値は4月、前年同月比で10%超上昇し、170万ドルとなった。同都市圏の住宅価格の中央値は今、アメリカで最も高い。市内の住宅供給が限られていることも価格上昇圧力を強めている。
レッドフィンの最近のデータによると、2022年にチャットGPTが公開されて以降、ベイエリアの高級住宅地では住宅価格が急上昇する一方、最も手頃な価格帯の地域では価格が下落している。高級住宅地とそうでない地域での価格上昇率の乖離はチャットGPT公開前には存在せず、ほかの主要市場でも一般的ではない。
「今回が違うのは、AIの恩恵がはるかに集中しているように見えることだ」と、レッドフィンのチーフエコノミスト、ダリル・フェアウェザーは指摘する。
「誰もが家を買おうと動いているわけではない」
AIゴールドラッシュで巨万の富を手にした人々が…
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