麺は、いわゆる讃岐うどんの強いコシだけを前面に押し出すというより、太さともっちり感で食べさせる印象だった。だしは鰹節の香りが立ち、卓上の鰹節を加えることで、さらに香りを重ねられる。うどん、肉、だし、鰹節。それぞれを分けて見せながら、一杯の満足感にまとめている。
天ぷらを合わせると、食事としての量感はさらに増す。うどんは4玉まで同一価格。単に「安くたくさん食べられる」というより、量を気にせず、自分の腹具合に合わせて食べられる設計になっている。
この実食体験から見えてくるのは、単なる「うどん専門店」ではないということだ。セルフ式チェーンや讃岐系の「コシ」が大きな存在感を持ってきたうどん市場に、源次郎は「肉」「もっちり」「だし」「フルサービス」を組み合わせた別の価値軸を持ち込もうとしている。
分散するフルサービス市場への参入
物語コーポレーションの公式リリースは、うどん市場をセルフサービス業態とフルサービス業態に分類している。同リリースによれば、セルフサービス業態の市場規模は約2000億円で、上位2ブランドが売上シェアの大部分を占める。一方、フルサービス業態は約5900億円規模があるものの、個人店が多く、上位ブランドの売上シェアは1割強にとどまるという。
同社が源次郎で参入を決めたのはフルサービス側だ。「お一人さまからファミリーまで老若男女問わず幅広い客層に安心して利用できる設計」と公式リリースに明記されている。分散した市場に、フルサービスの設計で入るという判断である。
