例えば、「パーティー・ゲート」スキャンダル(ロックダウン中に首相官邸でパーティーが開かれていた事件)で辞任したアレグラ・ストラットンは、BBCの『ニュースナイト』などのエディターを務めた後、ボリス・ジョンソン政権の報道官に転じた。
彼女はBBC時代、生活保護受給者のシングルマザーに「(子どもを持つことは)あなたが選んだ道です」と屈辱的な質問を浴びせていた。
彼女はロックダウンのルールを嘲った動画が流出して辞任を余儀なくされたが、政界から不名誉な形で去ったにもかかわらず、わずか6カ月後にはブルームバーグの編集者としてメディア業界に復帰している。
政治家に甘いジャーナリストが大いに報われる時代にあっては、政治家の質が落ちるのも不思議はない。
スクープを握りつぶす記者たち
ザ・ロビーの内部では、概して、保守党系の新聞と労働党系の新聞があるのだからバランスは取れているという見方がされている。しかし実際には、ザ・ロビーとして常に意見の一致が見られたことが1つある。それは「ジェレミー・コービン(当時の労働党党首、左派)は役立たずで、彼の支持者は愚か者だ」ということだ。
進歩的と目される新聞やメディアには左翼系のジャーナリストを締め出すファイアウォールがあるが、右派の場合は、より過激なメディアのジャーナリストを権力の中枢に迎え入れることが可能になっている。仲間内の人間は同類を標的にしないという暗黙のルール「沈黙の掟(オメルタ)」が支配しているのだ。

