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左派を骨抜きにした「アイデンティティ政治」の罠 CIAや大企業にも消費される「多様性」と「被害者」ポジション争奪戦

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様々な人の手、連帯のイメージ
現代の左派の人々の連帯を阻んでいるものの正体とは?(写真:Rawpixel/PIXTA)

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現代社会において格差や貧困が広がる中、本来それに対抗すべき「左派」はなぜ力を失ってしまったのか。映画監督のケン・ローチ氏や経済思想家の斎藤幸平氏も絶賛し、「インターネット登場以後、もっとも影響力のある論客」と評される気鋭のイギリス人ジャーナリストによる新著『「マイノリティ支配」の正体:分断される社会と文化戦争の罠』の第1章から一部を抜粋・再構成してお届けする。

環境活動家への反発から見えた「左派の病理」

ある日、気候活動家のロジャー・ハラムが、社会変革の戦略を討議するために集まった左派の活動家たちに向かって「この場にいる全員がろくでなしだ」と言い放った。

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私は、ハラムの下品な言葉遣いをめぐる騒動が次第に沈静化し、社会変革のための最善の戦略についての議論に戻ることを願った。

しかし、討議は完全に脱線した。参加者は、自分がどれほど動揺したかを話すのをやめられず、ハラムがこの場に「暴力を持ち込んだ」と述べ、自分が傷つけられたと主張し続けたのだ。

妥協を許さぬ環境活動家から「ろくでなし」と呼ばれた程度の事に対処できなくて、どうして国家に対抗することが望めるだろうか。

左派には、アイデンティティの問題で身動きが取れなくなるという根強い悪習がある。人種や性別、性的指向、障害、性自認などにまつわる不公正を、団結した行動を取るための触媒とはせず、むしろ社会変革という大義の下で協力し合わない理由として頻繁に持ち出すのだ。

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