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「飲みづらい」グラス開発、飲み放題ではなくチケット制——《ヤッホーが仕掛ける"適正飲酒"》ビールメーカーがなぜ?

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ゆっくりビアグラス
「飲みづらさ」を売りにした、砂時計型の「ゆっくりビアグラス」。その狙いとは?(写真:ヤッホーブルーイング)
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従来のビールメーカーによる「飲ませ過ぎない」取り組みは、ノンアルコールドリンクの提供が中心だった。

まず、2009年にキリンビールが世界初アルコール0%の「フリー」を発売。近年は大手各社がノンアルドリンクを販売している。アサヒビールは2015年、ノンアルコールのカクテルテイスト飲料缶を発売。

また、2019年に大阪・本町に関西初のノンアルコールカクテルの「モクテル」専門店のテイクアウトが開業するなど、東京や大阪でノンアルバーが登場し、2022年にはアサヒビールが渋谷センター街にノンアルバーを開業している。

コロナ明け頃から、居酒屋やレストランでモクテルメニューを採り入れる店も目立ち始めた。

さらに、サッポログループが2021年から「Promote Responsible Drinking」のスローガンを打ち出し、キリンは2020年から適正飲酒の方法を伝える「スロードリンク」を推奨している。

本気で適正飲酒社会を目指すならば

いずれも適正飲酒の啓発や飲み方の提案を進めているが、ヤッホーブルーイングのようにイベントの酒量設計や“飲みづらいグラス”まで踏み込む取り組みは、より具体的な行動変容を促すと言える。

従来のノンアルドリンクは、酒に強い人が「飲みたい」気持ちをごまかす、あるいは酒に弱い人が「飲んだつもり」になれる要素が強い。つまり、飲みたい気持ちを肯定したうえで、アルコール摂取量は減らす。

一方、ヤッホーブルーイングのアプローチは、本人も自覚的に飲む量を減らし、メーカー側も短期的には身を切る側面がある。本気で適正飲酒社会を目指すなら、自覚的に飲酒量を減らす人を増やす必要があるのではないか。

(写真:ヤッホーブルーイング)

厚労省のガイドラインに明記された病気のリスク以外にも、飲酒運転による事故、飲酒による人間関係のトラブルなどのリスクもある。アルコール依存症になれば、断酒を基本とする専門的な治療や支援が必要になる。

楽しく飲み続けるには、自ら節制できる必要がある。その方法を、危機感を強調するのではなく、あくまで楽しむアプローチで提供する同社の取り組みが興味深い。

日本はこれまで、「何でも禁止」「上から目線」で間違いを正そうとする、生真面目な傾向が強かった。しかし、真剣にユーモラスな方法を探る企業の取り組みは、成熟社会の到来を予感させる。

▼厚生労働省:健康に配慮した飲酒に関するガイドライン

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