一方、土曜日を終日運休しての今回の工事では、金曜日の終電後から日曜日の始発前まで連続して約29時間を確保できるという。主な作業の内容は、まくらぎやレールの交換、そしてトンネルの換気用として地上につながる立坑の点検と、コンクリート壁剥落対策の工事だ。
各種の工事そのものは、通常の夜間作業でも「必ずしも難しいわけではない」という。ただ、「限られた時間の中ではなかなか進捗が伸びない」(星野氏)。夜間だけでは長期間かかる工程を一気に進められるのが、集中工事のメリットだ。

トンネルの中に「屋根」をつくる
集中的に時間を確保できる利点がとくに大きいのは、立坑のコンクリート壁剥落対策工事だ。すでに剥落の対策は施しているが、今回は万が一コンクリート片が落下しても列車に影響がないよう、トンネル内に「屋根」をつくる。
立坑は東京トンネルに3カ所あり、屋根を設置するのは24年にコンクリート片の落下があった「芝浦立坑」の部分で、上下線に1つずつ設置する。1つの屋根は4本の柱で支える構造。通常の夜間作業の時間だと一晩に1本の柱を立てるのが限界だが、今回は「上下線それぞれ4本ずつ、計8本の柱を一気に立てられる」(黒川氏)。夜間作業なら1週間以上かかる作業を1日でできる計算だ。
東京トンネルにはほかに「汐留立坑」「田町立坑」もあり、6月の工事では汐留立坑の点検作業も行う。
まくらぎ交換のペースも速まる。通常の夜間作業では一晩に6本程度のところ、「今回は40本ぐらい、もっと慣れれば50本ぐらい行けるかと考えている」(蛭田氏)。単に作業時間が延びるだけでなく、準備や撤収に時間はかかるものの、工事を効率化できる機械を使いやすくなるというメリットがあるためだ。交換するまくらぎの取り外しは、夜間作業の場合はほぼ手作業で行っているが、今回は「ジャンボブレーカー」と呼ばれる機械を使う計画だ。
