列車を丸1日運休しての集中工事で大幅にペースの進みそうなトンネル補修。だが、これで日常の夜間のメンテナンスが不要になるわけではない。コンクリート壁剥落対策の屋根をつくる工事も1回では済まず、今回は柱を立てるところまでだ。実際に屋根となる部分を載せるのは9月の運休工事の際になるという。
集中工事の回数が多ければより作業は進むが、運休は利用者に不便を強いることになる。3回という工事回数は、年間の利用実績とゴールデンウィークやお盆、年末年始といった利用の多い期間などを考慮して決めたという。
今回の工事による横須賀線の一部運休で、JR東日本は影響する利用者の数を11万4000人と見込む。首都圏本部鉄道事業部モビリティ・サービスユニットマネージャーの弓田康弘氏によると、工事の時期が6・9・11月になったのは「利用状況から、比較的影響が出にくい時期を選んだ」ためだ。
訪日客の利用も多い特急「成田エクスプレス」も新宿・大船方面への運転は中止する。別ルートでの迂回運転などはせず、「東京―成田空港間を通常通り同じ時刻で運転することを最優先に検討した」と弓田氏は説明する。
都市部の「工事運休」は今後増えるか
これまで鉄道の補修工事は、列車が走らない深夜に行うのが当たり前とされてきた。
「夜間の間合いで仕事をやりきるのは、われわれ設備側からすると誇りというか、プライドを持ってやっていたこと。だが(作業員の)人が減る、高齢化が進むといった中で、可能な範囲でいい方法を検討していくことは必要だと思っている」と蛭田氏は語る。
都市部の鉄道網の多くは開業から長い年月が経っている。道路や橋が通行止めによって補修時間を確保するように、都市の重要インフラである鉄道でも、安定的な維持のために列車を運休して工事時間を確保するケースが増えていく可能性がある。横須賀線東京―品川間の終日運休は、その現実を示す一例といえる。
運休を伴う工事は利用者の理解が不可欠だ。そのためには早期かつ丁寧な周知や説明はもちろん、こうした工事を実際にトラブルの少ない安定輸送につなげ、利用者の信頼を積み重ねていくことが極めて重要だろう。
