塩害の影響とみられる施設の老朽化によるトラブルもあった。24年2月、新橋―品川間のトンネル内にコンクリート片が落ちているのを夜間に作業員が発見。換気用の「立坑」から剥がれ落ちたとみられ、始発から一部区間で運転を見合わせた。
塩分を含む地下水などの周辺環境は総武トンネルもほぼ同じで、山間部のトンネルと比べて劣化が進みやすい条件下にあるという。その中で今回、東京トンネルで集中工事を行うのは、この立坑からのコンクリート壁の剥落対策を早急に進めることが狙いだ。
夜間に交換できるまくらぎは「6本」
完成から約半世紀が経過し、塩分を含む地下水にさらされる東京トンネル。補修は欠かせないが、終電後から始発までの夜間作業では時間が限られる。
通常、夜間作業で確保できるのは「300分(5時間)程度」と、首都圏本部鉄道事業部設備ユニットマネージャーの蛭田雄介氏はいう。だが、準備や撤収の時間も必要となるため実際の作業時間は短い。蛭田氏によると、一晩の夜間作業で交換できるまくらぎの本数はわずか6本程度だ。
電車に電力を供給する架線の送電を止めなければできない工事の場合はさらに作業可能な時間が短く、通常は「約150分(2時間半)程度で計画している」(黒川氏)という。
25年春のダイヤ改正では「トンネル設備の維持管理のため、夜間作業の時間を拡大する」として、それまで東京発着だった横須賀線の終電と始発を品川発着に変更。東京トンネルの補修工事に充てられる時間を増やした。延びたのは30分程度だが、それでも「一定の効果がある」(星野氏)。少しの時間でも貴重なのが夜間作業の実情だ。
