横須賀線・総武快速線の錦糸町―品川間は、ほとんどが都心の地下を貫くトンネル区間だ。トンネルは、両国付近―東京間の通称「総武トンネル」と、東京―品川間の通称「東京トンネル」からなる。総武トンネルは1972年、東京トンネルは76年に開通した。これらのトンネルが整備された後、80年に現在のような横須賀線・総武快速線の直通運転が始まった。
今回、工事を行うのは東京トンネルだ。完成から約半世紀が経てば老朽化が進み修繕が必要な場所も増えるが、このトンネルの場合、単に長い年月が経ったからだけではない。東京トンネルの特徴として、「地下水の水位が建設時より上昇して漏水が発生しやすくなり、部材などの腐食が進みやすい状況にある」と、JR東日本の東京土木設備技術センター上席グループリーダーの星野智之氏はいう。


塩分含む地下水に囲まれるトンネル
建設当初、地下水の水位はトンネルの位置よりも低かった。だが建設中の71年、地盤沈下などの対策として東京都が地下水のくみ上げを規制した後、地下水位が大きく上昇した。東京土木設備技術センター副長の黒川聡氏によると、現在は「トンネルが低い(深い)ところだと地下水の水位のほうが高い」状態になっているという。さらに、東京トンネルは沿岸部を通るため地下水は塩分を多く含んでおり、塩害による影響も受けている。
漏水対策の改良工事はこれまでにも行ってきた。規模が大きいのは2003年に開始した「二次覆工」で、簡単に言えばもともとのトンネルの内壁にさらに壁となるパネルを取り付ける工事だ。列車の走らない夜間に作業し、11年までに完成した。その後も日々の維持管理で水への対応は続けている。
それでもまだ漏水はあり、過去には地下水に関連したトラブルも発生した。15年12月には、トンネル内にしみ出す地下水の排水設備に不具合が生じて線路が冠水。始発から夕方まで約12時間半にわたって東京―品川間が不通となった。
