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「頭を抱え絶叫し、激しく痙攣」まるで『エクソシスト』の悪魔憑き?"抗NMDA受容体脳炎" 発症した23歳の絶望と葛藤

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入院中のAさん
近所の病院では「ただの風邪」と診断されていました(写真:Aさん提供)
  • 杉井 亜希 フリーランスライター/イラストレーター
  • 舛森 悠 総合診療医

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「あの日は自宅への帰り方も、お金の払い方さえもわからなかった。まるで、自分が自分じゃなくなる感覚でした」23歳で「抗NMDA受容体脳炎」を発症したAさんは、こう語る。

以前は300万人に1人の発症率とされていた「抗NMDA受容体脳炎」。若い女性に多く発症する自己免疫性脳炎の一種で、近年ではより多くの潜在患者がいると考えられている。

この病にかかった患者は、悪魔や狐に憑依されたかのような異常行動や精神症状を見せることから、かつては悪魔祓いの対象にもなった。ホラー映画『エクソシスト』も、この奇病をモデルに作られたという説もある。

2012年夏、新入社員として新生活を始めたばかりのAさんもまた、この病によって人生を一変させられた者の1人だ。風邪のような症状から始まった異変はやがて脳を侵し、Aさんを昏睡状態へ追い込んでいく。

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近所の病院では「ただの風邪」と診断

12年春、Aさんは4年制大学を卒業し、4月から金融機関の新入社員として新生活をスタートさせたばかりだった。咳が止まらなかったため入社式にはマスクを着用して参加したが、入社後は同期たちと一緒に研修を受け、休みの日には当時の恋人とデートも楽しんだ。ささやかながらも、夢と希望に溢れる社会人生活が始まる予定だったのだ。

しかし、入社式以降もAさんの体調は一向に回復しなかった。

「最初は本当に普通の風邪だと思っていました。社会人になったばかりだし、疲れているんだろうって」

時折涙を浮かべながら、13年前の出来事を赤裸々に語ってくれたAさん(写真:筆者撮影)

4月から6月にかけて、頭痛や倦怠感、焦燥感のような症状が続いた。調子が悪い日は微熱が出る。近所の内科へ行っても「ただの風邪」と診断されるだけだった。処方されるのは一般的な風邪薬だけ。

薬を飲んでも症状は悪化の一途を辿り、7月頃からは毎日のように39度近い高熱が出るようになった。それでもAさんは毎朝解熱剤を飲み、公園で栄養ドリンクを一気に飲み干してから職場へ向かっていたという。

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