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「頭を抱え絶叫し、激しく痙攣」まるで『エクソシスト』の悪魔憑き?"抗NMDA受容体脳炎" 発症した23歳の絶望と葛藤

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入院中のAさん
近所の病院では「ただの風邪」と診断されていました(写真:Aさん提供)
  • 杉井 亜希 フリーランスライター/イラストレーター
  • 舛森 悠 総合診療医
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財布をそのまま運転手へ渡し、必要な金額を取ってもらったという。どうにか帰宅するも、Aさんの混乱は収まらなかった。

玄関で泣きながら立ち尽くし、「携帯がない、どうしよう……どうしよう……!」と叫び続けるAさんの様子を見たAさんの母と姉は、「これはただ事ではない」と確信し、急いで最寄りの総合病院にAさんを連れて行ったという。

そこで行った血液検査で白血球数の異常値が見つかり、即座に入院が決まった。しかし、この時点でまだ病名はわからない。Aさんの姉は、当時のことをこう振り返る。

「その日は私が付き添い入院をしていて。妹は入院当日の夜、2〜3分おきに私の名前を叫んで、意味不明な言葉を繰り返し呟いていました。その様子を見て、きっと妹は脳の病気なんだろうな……と思いました」

Aさんの姉(左)は妹の看病に懸命に向き合った。家族の精神的負荷は大きかったと言う(写真:Aさん提供)

翌日の7月10日には、主治医から「辺縁系脳炎かもしれない」と言われるが、具体的な診断はつけられないまま症状は悪化。翌11日には家族との会話も難しくなり、食事も排泄も1人ではできず、夜中には呪文のような言葉を唱え続けていたそうだ。

家族に付き添われながらトイレへ行っても、下着を履かないままトイレの個室から飛び出す。延々と謎の言葉を呟き続ける。徐々に顕著な異常行動が見られるようになっていった。

そして7月12日深夜。Aさんは突然、頭を抱えながら病院中へ響き渡るような声で叫び始めた。身体は激しく痙攣し、パーキンソン病患者のような不随意運動も現れたため、家族と周囲のスタッフが数人がかりでAさんの身体を押さえ、ベッドへ固定した。

やがて自発呼吸も難しくなり、心音も低下。緊急処置でどうにか回復するも、翌日、病院側は「これ以上の処置はこの病院では困難」と判断した。

そして皮肉にも、Aさんの24歳の誕生日当日である7月13日に、Aさんは横浜医療センターのICUへ緊急搬送されることとなった。

病名不明のまま、家族は“命の選択”を迫られた

横浜医療センターで、ようやく「抗NMDA受容体脳炎」の可能性が浮上した。

「抗NMDA受容体脳炎」とは、自己免疫機能の異常によって脳に炎症が起こる、非常に稀な病気だ。風邪のような発熱や頭痛から始まり、悪化すると記憶障害や意識障害、痙攣などを引き起こすこともある。

Aさんにあったような異常行動が見られることも多く、初期段階では精神疾患と間違われるケースも少なくない。

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