その背景について、野井氏は「太陽光に含まれるバイオレットライトが近視の進行を抑制することは国際的に広く知られており、台湾では国語の授業を校庭で行うなど、屋外で過ごす時間を増やす工夫をしています」と説明し、「日本でも、屋上で音読をしたり、校庭で石を数えながら算数を学んだりするといった工夫はできるのではないでしょうか」と提言する。
異変の背景に「3つの神経系機能」の問題?
調査結果を分析すると、子どもたちの異変の背景には、「前頭葉機能」「自律神経機能」「睡眠・覚醒機能」という3つの神経系機能の問題があると推測されるという。
野井氏らは「子どものからだの調査」とは別に複数の実態調査も行っているが、その結果からも神経系機能の危機的状態がうかがえる。
例えば、07年に日本と中国の子どもたちの自律神経機能を測定した調査では、日本の子どものほうが交感神経優位で、緊張状態にある傾向が見られたという。交感神経が過剰に働いた状態が続けば、疲労が抜けにくくなり、心身の不調にもつながりやすくなるが、18年調査でも同様の傾向が確認されている。
さらに、日本の子どもたちは世界的に見ても睡眠時間が短く、25年の生活調査からも「日中ねむい」「朝なかなか起きられない」といった問題が小学生段階から見られたという。
継続的に行っている前頭葉機能検査では、前頭葉機能が不活発で落ち着きがない「不活発(そわそわ)型」の出現率が増加していることが確認されている。鹿野氏は「特に男子の増加が目立ち、例えば1969年は7歳児の2割程度でしたが、現在は6割近くに達しています」と指摘する。

